【番外編】九条ジョーという男 ページ28
[九条サイド]
最初はちょっとした違和感やったと思う。デビューしたての僕らはチケットの大半が手売りで、ただでさえまばらな客席のほとんどが知り合いだなんて日もある。そんな中、熱心に来てくれるファンの顔は嫌でも覚えるわけで。
「今日も来とったな、あのおっさん」
『おっさんって笑たしかに多少は年上やろうけど』
「公演中もずっとAのこと見てたで」
『ファンがおるなんて光栄なことやん』
「そんなんちゃうのAも分かるやろ」
実は若手芸人、特に女芸人に変なファンがつくのは珍しいことじゃない。考えたくもないけど、それなりに可愛くて若いAなんかは格好の餌食なわけで。
「ホンマは怖いんやろ、言うてみ？何があっても守ったるよ。」
決してAのことを弱いと思っとったわけじゃない。なんならすごい経歴引っさげて、何かと話題になるこいつらのことが気に食わんかった。天才は持て囃されていい人生ですね、って。でもAは、こいつらは、そんなんじゃないって俺はもう知ってるから。誰よりも努力して前に進んでる。そんなAが苦しんでるのが耐えられへんかった。
『……最近つけられてるような気すんねん。』
絞り出すような言葉はさっきまでの威勢を失ってて。相当頑張ってたんやろうなって思ったら自然と体が動いた。
『…え？』
想像以上に＿＿＿いや想像なんてしたことなかったはずやけど＿＿＿小さい体をギュッと抱きしめる。
「泣いてええよ。泣き止むまでこのままでおったる。」
『…っ、ありがとう九条くん…
「ジョー。これからはジョーって呼んで。」
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ねる(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます。心待ちにしていたと言っていただけてすごく嬉しいです。皆様のリクエストを踏まえた続編にできるよう頑張りますね！ (2022年6月22日 17時) (
レス) id: b46a5649b3 (このIDを非表示/違反報告)
ねる(プロフ) - りまさん» コメントありがとうございます。続編も考えてみますね！ (2022年6月22日 17時) (レス) id: b46a5649b3 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - はじめまして。毎回の更新を心待ちにするほどこの作品を読むのが楽しくて大好きだったので完結記念にコメントさせていただきました。結婚後ストーリーも作者様の無理のないペースの中で是非読んでみたいです！ (2022年6月21日 22時) (レス) @page50 id: ce4acb1eb6 (このIDを非表示/違反報告)
りま(プロフ) - 終わってしまうのがさびしいです。結婚後のお話も楽しみにしています (2022年6月21日 19時) (レス) @page50 id: 05beb7e26c (このIDを非表示/違反報告)
ねる(プロフ) - みーんさん» コメントありがとうございます。楽しみと言っていただけて嬉しいです。期待に添えるように頑張りますね！ (2022年6月14日 18時) (レス) id: b46a5649b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねる | 作成日時：2022年3月23日 19時
