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〈Frisk side〉
またひとつ、門を抜ける。
いや、正確には抜けようとした、といった方が正しいだろう。
歩いていたら、なにかもふもふとしたものにぶつかった。
驚いたような声が聞こえてきたから、それが生き物なのだとわかった。
「まあ、ごめんなさい!大丈夫?怪我は…なさそうね、よかったわ。
ごめんなさい…。こんなところに人間がいるなんて…」
もふもふな彼女は、心配そうに話しかけてくる。
暖かい気配を感じるので、悪い人ではないのだろう。
ここがどこか、もしかしたら教えてもらえるかもしれない。
とりあえず最低限の質問だけ投げ掛けておこう。
「ええと…あなたは誰ですか…?ここは…?」
「私はトリエルよ。ここはモンスターたちの世界。
そして、私の住んでいる遺跡よ。子供一人で進むには危ないから、そうね…
私が案内してあげるわ。ついていらっしゃい?」
トリエルさんは、私の手を引いてくれる。
見ず知らずの人間に対して、ここまで優しくできるものか。
彼女は相当なお人好しなのだろう。
確かに、目の見えない私にとってはガイドがいてくれた方が楽だ。
そういえば名前を全く聞かれなかったけど、何て呼ばれるんだろうか。
変な呼ばれ方しないといいけど…
なんて、どうでもいいことを考えながら、トリエルさんについていく。
次に入った部屋は、床に六つの出っ張りのある部屋だった。
「ここにはたくさんのパズルがあるの。侵入者を撃退するためのパズルよ。
…もう今は、必要ないですけどね。」
真ん中を除いた四つを踏んでいくトリエルさん。
ガコン、と大きな音と共に壁…いや、門が開く。
あの出っ張りはスイッチだったらしい。
トリエルさんは、こっちよ、と言って先へ進んでいく。
壁に石板のようなものがあることに気がついた。
文字が掘られているようだが、触れずに読むのは少し難しい。
読めたらいいな、という期待のもとに、文字を指でなぞる。
──ひとたび道を定めたら、真の勇者も愚か者も中間の道は歩まず
ここのパズルのヒントなのだろうか。
難しいことが書いてあるように見えるけど、どういうことだろう?
トリエルさんは真ん中を踏んでいなかったし。
「おチビさん、早くいらっしゃい?次のパズルの説明をしてあげるわ。」
扉からひょっこりと顔を出して私を呼ぶトリエルさん。
まだまだパズルは続くらしい。
はぁい、と間延びした返事をして、私はトリエルさんについていくのだった。
今日のアンテキャラ
ガスター
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作者名:葉月色葉 | 作成日時:2022年8月1日 21時