Honey Citrus ３

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何か……話してる？







見えにくい所だし、


北山さんはこっちに背中向けてるからよくわからなくて。






……なんで、二人でいるんだろう。








「…一緒に行くんですかね……っ！」



「そう、かな…」



「きっとそうですよ…！


　じゃあ、えっと…お疲れ様です……っ！」








胸の中にまたモヤモヤが生まれそうになったから、





慌てて藤ヶ谷さんに頭を下げて


そのまま帰ろうとしたら









「……っ…！」









また視界に入った立花さんが


ガラス越しに一瞬こちらを見た気がして。









思わず立ち止まって、



その視線に何か意図を汲み取りそうになった瞬間









「え………っ、」









なんで・・・？









まだ会社から出ていく人も多くて、



そもそも北山さん達は端の方にいたから

気付いたのは私と藤ヶ谷さんだけだったかもしれない。









＿＿＿＿＿それでも確かに目に映った。









立花さんが北山さんの首に腕を回して、



顔を重ねた二人が見えたの。









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ロビーに流れるアナウンスが聞こえにくくなって、



無機質な床のタイルがボヤけて見えにくくなる。









……私ってこんなバカだったっけ？







立花さんは、



見た目はもちろん


明るくて仕事もできて



同性として羨ましい位、ホントに素敵で。






初めて二人が並んでる所を見た時から思ってたの、


北山さんとお似合いだって。









…対して私は、





北山さんの優しい態度と甘い言葉に



勘違いして

勝手に浮かれ上がって。









「す、すみません……っ…、」




「A……っ！」









後ろから声を掛けてきた藤ヶ谷さんから、


目撃してしまったこの場所から、




逃げるようにしてビルを出た。









北山さん達がいる所とは反対側のドアから出て


足早に人混みの中に駆け入る。







「……っ、」







下を向いたら


何かが目から零れ落ちてしまいそうで。






必死に他の人と同じように前を向いて


信号が変わるのを待つ。









…二人がキスしてたのが見えた瞬間、



私の心の中に確かに芽生えた嫉妬心。









でも、これって＿＿＿＿＿









「おい、待てって……！」




「…え……っ？」




「佐藤！」









後ろから聞こえてきた声に思わず振り向いてしまう私は





…やっぱり何か、北山さんに期待してたのかな。







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