Honey Citrus ３

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しばらくして、ようやく１階に着いて

人ごみの間から見える前方が明るくなった。








順々に人が降りてくのに応じて

北山さんもスッと離れて。








「あっつ…、潰されるかと思ったわ」






な？なんて


私の方見て聞いてくる。









ドキドキしてるのは、私だけ？









「く、苦しかったです……っ//」





…色んな意味で。







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「はぁーーーーっ…。」






ビルを出て、信号待ちしながら大きな溜め息。








ドキドキしてるのは私ばっかりで


やっぱり北山さんケロッとしてるじゃない。







…なんて考えてたのに








.









『お前今週いつ空いてんの』





『えっ…？』





『飯連れてくの、いつがいい？お前に合わせる。』








帰り際、私をわざわざ呼び止めて聞いてきた北山さん。






ちゃんと覚えてたんだ…って


思わず胸の奥がドキッてしてしまって。








北山さんの一言で自分の気持ちが

こんなに左右されるのって






「…なんか悔しい、」






けど、どこか嬉しい。









結局、この前と同じで金曜日に約束したけど


また今週は長くなりそう…。








こんなんで大丈夫かな…なんて考えて、


なかなか変わらない信号に

ワケもなく視線を横に外したら









「…あれ？」







隣で同じく信号待ちしてた男性の顔に

思わず声が出る。








口元に特徴的なホクロ。



会議室の前でこの間私とぶつかって…







「あぁ、君。藤ヶ谷の、」







…そして、こんな風に


なぜか藤ヶ谷さんの名前を出した男の人。






私の声に気付いて、パッとこちらに目を向けて。









「お疲れ様です…！この間はどうも…」




「お疲れ様。本社の人でもこの時間に帰れるんだ、」







な、何を……っ、





ちゃんと仕事終わらせたから定時で出てきただけなのに…！







トゲのある言葉に


思わず表情が強張る…








「会議終わってからさ、今日はそのまま本社に用あったんだよね」




「そ、そうですか…」




「って、俺の話なんかどうでもいっか。」






そう言って


また前を向いてしまった男性。








あ、あんまり得意なタイプじゃないかも…。









ここで会話を終わらせて


そのまま信号待ちしてれば良かったんだろうけど、









「あの…どうして私の事ご存知だったんですか？」




「え？」








つい口に出してしまった私。

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