18輪目 ページ18
「……さ…、………ん、Aさん!」
名前を呼ばれ慌てて振り向く。
「な、何ですか?」
「どうしたんですか?いつもと違いますね。顔色も悪いですし」
「そう、ですかね?」
今朝、輝気にも言われたんだよな…。
輝気の言葉を思い出す。
__A、顔色悪いよ?風邪?仕事休んだら?__
そんな体調悪そうに見えるのかな。
大方原因はわかっているがそれを口にすることはできない。
周りに迷惑かけるわけにはいかないし、流しとこう。
「ちょっと寝不足で…」
「えっAさんも夜更かしするんですね」
「もって何ですか、もって」
「日付変わる前にはちゃんと寝てそうな感じします」
まぁ基本はそうだけど…。
「花沢さん、ちょっといいかな?」
「はい」
上司に呼ばれ席を立つ。
すると急に視界が歪む。
「ッ…!」
「だ、大丈夫ですか?!」
倒れそうになるが幸い同僚がすぐ横にいたため倒れずにすんだ。
しかし次は吐き気に襲われる。
立っていられず支えられながらその場にしゃがみこむ。
「本当に寝不足なんですか?」
寝不足…で押し切るのは無理か…?
「花沢さん、大丈夫?海外からこちらに来たばかりで疲れが溜まってるんじゃない?」
「え、っと…」
疲れ…。
「今日は帰って休みなさい、明日もお休みしていいから」
「え、ですが…」
「無理をして入院なんてことになるより今日と明日しっかり休んで回復して貰った方が私達は助かるわ」
入院はちょっと大袈裟じゃ…。
でも…。
「すみません…ありがとうございます」
「大丈夫、穴埋めは神崎さんがやってくれるから」
「ちょっ?!私、Aさんみたいに仕事できませんよ?!」
神崎さんは私の分の仕事を任され慌てるが私に嫌味は一切言わず早く元気になってくださいねっと労いの言葉をかけてくれる。
いい人達だなぁ。
しみじみそう思った。
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作者名:春悲 | 作成日時:2019年4月30日 17時