蒼剣【創作】5 (ページ5)

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ラインハルト2 ページ5

僕がいた世界には母さんや父さんはいないも同じだった。
母は竜王の席について、父は東魔王。
兄弟達はあまり仲が宜しくはなかったから…
長男としてどうにかしなきゃいけなかったのだろう…、でも解らなかった。
予知を観ても、夢を見ても、兄弟達の考えている事、父や母の考えている事が何一つ

ーーーー理解が出来なかった。

「眠れないの？」
隣で寝ている母が僕に言う。
「うん、少し」
母は優しく僕の頭を撫でると微笑んでいる、この時代にまだ僕は産まれていない。
「貴方の弱い所はシルヴァにそっくりね…良かったわ、私に似てなくて…」
「母さんは…父さん達の事好き？」
何気なく聞いたこと、少し驚いて母が返す。
「えぇ、勿論。ラインハルトは？」
「…うん、多分、好き…父さん達も兄弟達も…｣
僕を殺そうとする兄弟達も大切な存在だよね、母さん。

ーー月が蒼い、蒼くて大きな満月の夜。

「ねぇ、兄さん…兄さんはさ、幸せ？」
そんな弟の独白、僕に向けて言われた言葉。
「カインは幸せかい？」
「兄さんと同じ答えだよ」
いつも全てを退屈そうに眺めているだけの弟がそんな事を聞いた理由はわからなかった。
「兄さんのその目。嫌いだ」
竜として産まれた僕と人として産まれた弟には見えない壁があった。

「…母さん？」
朝起きると母さんがいない。
寧ろ、城に誰もいない気がした。
隔離された様な…
「…兄さん、起きるの待ってたよ」
カインが笑う、僕は悲しくなった。
「シルヴィアの結界内だから、母さんに見つかることもない…」
シルヴィアはカインの双子の妹だ…カインは魔法は使えないがシルヴィアは使える。
「シルヴィアの…そうか。あの子も一緒か…君達は仲が良かったからね…」
いつから、こうなってしまったのだろうか。
「いや、僕の妹はこんな事をしないね…あの子は素直だから、魔法なんて姑息な手は使わないはずだね」
カインは驚いた表情をして次第に笑い出す。