蒼剣【創作】5 (ページ11)

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【夏祭り】ページ11

リヴァはコルク銃を構えて景品を狙う。
「リヴァ？そっちじゃねぇよ？」
ぬいぐるみは狙わないのか…
「ぬいぐるみは両手が塞がるでしょ？だから…」
パチン、と音を立ててコルクが発射する。
「それが欲しいのか？」
「うん」
「任せろ」
景品に当たって、落ちる。
ピアス…？
「嬢ちゃん、ピアスの穴なんて空いてねぇじゃん…どうして？」
景品を受け取ると大事そうにするリヴァ。
「クドに似合うかなって…それにこれから開ければいいし…」
「無理に開けなくてもいいんだぞ？持ってるだけで」
「ううん、いいの、私がそうしたいの」
「そっか」
夕方、黄昏時。
不覚にも可愛いと思ってしまった。
きっと夏のせいだな、とクドは笑う。
「俺、後悔はしてねぇよ、むしろ、良かったと思ってる。」
「何の話？」
首を傾げるリヴァ。
分からなくていいや、お前は。
「分からなくていいぞ～俺がそう思っただけだから」
リヴァの手を取り歩き始める。
「ほら、花火始まっちまうぞ！」
「そうね、急がなきゃ」
それからは何も喋らなかった。
周りには人がいない、花火が見える場所まで来て。
花火が上がると同時に
「愛してる」
と告げる、花火で夢中で聞いていないなと。
自分も花火を見ようと視線を花火に逸らす。
でも、リヴァの顔を見ていたくて視線をリヴァに戻すと、こちらを見て幸せそうに微笑んでいる。
「なぁ、キスしてもいいか？」
繋いだ手はそのままで、リヴァが静かに笑う
「ふふっ、なにそれ」
「仕方ねぇだろ！タイミングとかわかんねーんだから！」
きっと自分の顔は真っ赤だろう、心臓も心做しかうるさい気がする。
「どうぞ」
ぎこちないようなキスをする、今思うと周りに人がいなくて良かったと思ってる。
花火も終わって夏祭りも終わりを迎える。

楽しい夏祭りだったなぁとクドは思っていた。