以下であり以上である ページ42
否。違うのだ、彼女は
「僕から逃げた…」
そう思ってしまった、レヴィは普通の人間で僕は魔王に相応しい様な怪物だ。
優しい人間が怪物の子供を身篭ったのなら。どうなるかは分かっていたはずなのに。
ここから先は思い出したくもない。
「父親に聞かなくていいのか？聞きたいことが山ほどあったんだろ？」
「聞きたいこともなくなっちゃったし。お母さんがどう生きたのかなんて、私には知る権利がないのよ」
それに。それに、と
「ルカが話したくないことを無理に聞き出すのも良くないと思うの。」
リヴァは薄く笑う。不意に右手を伸ばして頭を撫でてしまう。
「え？ちょっ…何何？」
どういう風の吹き回し？とでも言いたそうな顔をしてリヴァが笑うとアレフが。
「たまには、いいだろ？」
といたずらっぽく笑う。
「貴方。そういう顔できたのね…知らなかったわ…」
と、アレフ。
過去の事を思い出す。
「…あの時。」
そう。ルカと戦った時、リヴァが死にかけた時。
力が制御出来なくなってしまった。
あれは自分の力ではないような気がしていた。
「守る為の盾なのにな…」
傷つけてしまった…
「じゃあ、いっそ死んでくれます？」
シルヴァが珍しく笑顔じゃなく。
「ああ、そうだな」
「あれ？断られると思ったのになぁ〜…｣
銃口を向ける。後は撃鉄を起こしてトリガーを引くだけ…なのだが
「いやですね、貴方を撃とうとするとリヴァがちらつく…！」
銃を捨てる。
「いいのか？」
「いいも何も…普通の拳銃じゃ貴方死なないでしょ…！」
あー…イライラするなぁ…
勝手に死んでくれれば楽なのに。
シルヴァが去って後。
「貴方達が仲違いするのは見たくないわねぇ…」
光からリヴァが現れる。
「いや、喧嘩じゃない…あれはシルヴァの普通なのだろう…」
「へぇ…まぁ殴り合いにならない限り私も関わらないようにするわ｣
ーーー
シルヴァが暗い部屋。明かりも付けないで
窓から入る月明かりだけの部屋で
「僕は自分が弱いと思います」
リヴァは笑う。
「上には上がいるものね？｣
違うと首を横に振る、シルヴァ
「あの時も…貴女を護れなかった」
「そんなことないわ、貴方はいつも私を護っていてくれたわ」
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作者名：夢無 | 作成日時：2017年6月16日 5時
