忘れられない列車の旅 ページ9
××
車窓には荒涼とした風景が広がっていた。
整然とした畑は既に見えなくなり、森や曲がりくねった川、鬱蒼とした暗緑色の丘が通りすぎていく。車窓から見える絶世の景色にハリーたちが魅入られていると、コンパートメントの戸が開いた。丸顔の男の子が半泣きの顔で入ってきた。
「ごめんね。僕のヒキガエルを見かけなかった？いなくなっちゃんだ……僕から逃げてばっかりいるんだ」
「ヒキガエルなんて見てないな……き、きっとすぐに出てくるよ」
「うん、もし見かけたら……」
男の子は落ち込みながらそう言うとハリーたちのコンパートメントから出て行った。
「どうしてそんなこと気にするのかなぁ。
僕がヒキガエルなんか持ってたら、なるべく早く無くしちゃいたいけどな。もっとも、僕だってスキャバーズを持って来たんだから人のことは言えないけどね」
ロンの膝の上ではスキャバーズがすやすやと眠っている。ハリーは先程から黙っているシェリーに目を向けた。シェリーは鋭い目付きでスキャバーズを見つめていた。ネズミが嫌いなんだろうか？と考えているとロンはトランクを引っくり返し始めた。
「昨日、少しは面白くしてやろうと思って、黄色に変えようとしたんだけど……でも、呪文は効かなかった。やって見せようか。二人とも見てて」
ロンはくたびれたような杖を取り出した。
あちこちボロボロと欠けていて、端から何やら白いキラキラするものがのぞいている。ロンは溜め息を吐きながら、杖を振り上げた。同時に、コンパートメントの戸がまた開く。さっき入ってきた少年が、ふわりとした明るい栗色の髪を下ろしている少女を連れて入ってきた。少女は新調のホグワーツローブに着替えている。
「誰かヒキガエルを見なかった？ネビルのがいなくなったの」
「見なかったって、さっきそう言ったよ」
しかし、ロンの答えなど少女は聞いてもいなかった。寧ろ、杖に気を取られていた。
「あら、魔法をかけるの？それじゃ、見せてもらうわ」
「あー……いいよ。
お陽様、雛菊、とろけたバター、デブで間抜けなねずみを黄色に変えよ」
ロンは呪文を唱え、杖を振った。
しかし、何も起こらない。
「その呪文、間違ってない？」
***
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好き - めっちゃ面白いです！！質問ですが、クララさんは「リミット」の主人公という解釈であっていますか？ (2023年9月11日 22時) (
レス) @page50 id: 7b1f7a885b (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ(プロフ) - すみません。アドラーというのは本作に出てきますでしょうか。調べても出てこなくて… (2023年8月24日 9時) (レス) @page49 id: 1b32a494c8 (このIDを非表示/違反報告)
本都 - 失礼します。クララの子供はレギュラスの子供でしょうか (2021年8月15日 13時) (レス) id: 7aa513530e (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 柊あんずさん» どんな更新速度でも完結まで追い続けます！応援してます！ (2020年10月24日 0時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - mikittyさん» コメントありがとうございます〜！今までが遅すぎたんですよ…だってこれ連載したの2018年ですからね…申し訳ない…これからも応援よろしくお願いいたします…！ (2020年10月23日 21時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんず
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HiiragiAnzu/
作成日時：2018年11月16日 14時
