ずっと前から貴方のことが（yg） (ページ38)

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泣いていいのは私じゃないページ38

逃げてしまった手前

慎太郎と同じ電車に乗るのは気まずくて

近くの公園に立ち寄った。

空を眺めてボーッとしていた。

どれくらいの時間が経ったかはわからないけれど

気づけば辺りは暗くなってきていたので

重い体を引きずり駅に向かった。

電車に揺られながら考える。

慎太郎は、いつから自分の気持ちを隠して

私にいつも通りに接してくれていたのか。

好きな人がずっと近くにいるのに

好きだと伝えない選択肢をとる辛さ。

痛いほどわかる。

わかるからこそ、きつい。

慎太郎はいつでも私の傍にいてくれて

私を笑顔にしてくれた。

落ち込んだときも支えてくれたのはいつも慎太郎。

私は慎太郎に何かしてあげられた？

慎太郎のことは大好き。

だけどきっと、私の好きと慎太郎の好きは交わらない。

慎太郎の気持ちには、応えられない。

どうして、気づかなかったんだろう。

どれほど、傷つけてしまったのだろう。

気づけば、涙が溢れていた。

泣いていいのは、私じゃない。

泣きたいのは、慎太郎なんだから。

そう思えば思うほど、止まらない涙。

今日に限って、ロングシート型の座席だった。

「あの子、どうしたんだろうね」

そんなひそひそ声が聞こえてくる。

どうしようもなくて、うつむいていたときだった。

座る席なんて沢山あるのに

目の前の吊革に誰かが掴まった。