【あんスタ】誘惑王子に逆らいたい〈2〉 (ページ8)

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誘惑王子55 ページ8

敬人「全く、度し難い...」

A「ふふ、ごめんね?...じゃぁ、蓮己くん、泉。...ばいばい...♪」

泉「...えっ」

ホームルームが終わり、俺の後ろでうたた寝をしていたAが席を立ってひらひらと手を振っている

蓮己の耳元で何かを囁いて、そのまま教室から出ていってしまった

泉「.....あぁもう、何だったの...!?」

朝から眼鏡をかけたAを見て、しかも悪戯っ子みたいに笑ってた

蓮己を抱きしめて、頭を撫でて

惑わされるような程の、低くて甘い、優しい声をかけていた

...眼鏡かけるとか反則だし、ただでさえかっこいいのにああいう子どもっぽい事して遊んでるとか...

泉「......ずるい」

僅かな嬉しさと嫉妬で、頭が痛くなる

後ろに居たはずの、空席となった彼の机に振り返ってもただ寂しいだけ

...何で行っちゃうの

また『あの時』みたいに、Aの言う『悪い子』になれたなら

ゆらゆらふわふわ、人を惑わせて誘う魅力的なあの子

愛されていても、可愛いと言ってくれても、最後は上手くかわされてしまう

意識を逸らすことのできない、病みつきになる毒の様な魅力に、

逆らいたい

密かな反撃を、こちら側から加えてみたいと思った

.

A「はい、先生。寝相が悪くならない方法を教えてください...♪」

椚「...珍しく質問しに来たかと思えばそんな事...大体、今貴方は授業中のはずでしょう?またサボったんですか?」

A「....先生も職員室に１人残ってるから、サボりじゃないの...?」

そう伝えたら、「この時間はたまたま１人だっただけです!」だって。

ふふ....怒った顔も可愛いね...♪

保健室に行っても良かったんだけど...今は居ませんって書いてあったから自然とここに到着しちゃった

まさか居ると思わなかったから、結構びっくりしてるんだけどな....

A「今、...先生と俺だけ...?」

椚「どこから見てもそうでしょう。...で、寝相が何ですか。そういうのはあの人に...

...!?」

しっかり締められたネクタイに指をかけて、椅子の端に膝を捩じ込む

ねだるように見上げて、眼鏡の奥の瞳をじっと見据えた

A「...今は2人きりって言ったのに、...他の人の事考えちゃうの?」

眉を下げて微笑むと、手首を掴まれちゃった

椚「...そういう近づき方をするんじゃありません」

A「...ありゃ」