【ツイステ】前世の知識フル稼働で不運に挑むぜよ。

episode8 ページ9

そこに入ったのはスプーン。目の前の子が入れたのだ。でも可笑しい。



「なっ！？」



どんどん先端から色が変色していくスプーンに呆気取られる。

まるで東の方に伝わる銀食器のようだった。




『まぁ。これ毒ね。』



先程までの幼女の相貌が見違えるように妖しい笑みに染まった。



なんだこの子は。そしてこれはなんだ？銀食器も今の毒には通用しないしあのカリムがなにも言わなかったのに。




「こら！A！全く…すみません皆様。この子は末の娘でして可愛がりすぎたようで…」



騒然とした辺りに咎めるような声にしてはどこか明るい声が響く。父親か。



『お騒がせして申し訳ございませんでした。』



「そ、そんなことどうでもいい！なんだね！その食器は！」



「これは…あぁ！うちで取り扱い始めたばかりの商品！遊んではいけないとあれほど…」



「もっと詳しく教えてくれたまえ！」



「おや、興味がおありですか？」




商品の紹介が始まってしまった。先ほどの少女は隅に移動しようとしていた。



その手をつかむ。ﾊﾟｼｯ



「貴女は((「ジャミル、外の風にあたりに行くぞ。」は。承知いたしました。」



声を発したのはこの騒ぎに身を滑らせ、席を立ったカリムだった。



これはつまりこの子も一緒に来させろ、と。



珍しくいつもはお調子者のカリムが主君としての声を出したのでそれに従った。



「少しついてきて頂けますか」



『………えぇ。分かったわ。』

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