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現実、現世、“此の世界” ページ4

自分は今、己が身体に宿ってはいない事を即座に悟り、今自分を襲う優しい感触に納得をした。

嗚呼、矢張り私は、普通の状態などでは無かった。

ふわふわとする感触も、やけに高い視点も、
「普通ではない今の状態」という一言で片付けてしまう。

でも、たとえこれが夢だったとしても。

もう少しだけ、此の儘でも…良いかな
少しだけ…このやけに気持ちのいい感覚に抱かれて居たかった。

そう願う事も許されず、視界は直ぐに暗転する。

もう一度此の手に掴んだ視界は…既に地に座り込む身体の視界だった。

優しい感触は疾うに失われ、ゆっくりと手先の感覚迄戻ってくる。

ぼやけた視界が戻ってくると同時に、目の前の3人分の人影が喋っている内容が耳に入ってきた。

「此奴、話しませんよ…其れ処かピクリとも動きやしない。真逆…又失敗でしょうか。魂の召喚に失敗したとか…」

「否、文献の通りなら先に此方に召喚するのは肉体ではなく魂だ。未だ追いついて居ないのだろう。慌てず少し待ち給え。」

すみません、と直ぐに謝罪を述べる暁の持ち主。彼らの立ち位置が見え隠れする。

「ねーリンタロウ、私此の子と仲良くなれるかしら?」

「年齢もそう変わり無さそうだし大丈夫じゃないかな?エリスちゃんが仲良くしてくれると彼方としても居易いだろうし、同性の方が親しみ易いだろう。お願いするよ?エリスちゃん」

一方の少女は物怖じなど全く無く楽しげに会話をする。親族が何かなのだろうか。


そんな事を思う内に身体は元の状態に戻り、恐らく自由に動かせるまでに回復した。恐怖を感じ乍も此の儘ではいけないと己を奮い立たせ静かに面を上げた。

「嗚呼…矢張り成功だった様だね。
ようこそ、歓迎するよ。我らが組織ポートマフィアへ。そして…」

一息ついてから又言葉を唄う。

「我らが“此の世界”へ」

にやりと微笑む彼の瞳の闇は、差し込む光よりも深かった。

立ち上がった私の影には。→←此処じゃない何処かで。



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Lease(プロフ) - お久しぶりです、切愛と申します。突然ですが、2年振りにアカウントを変更してリメイクをさせて頂きます。以後この内容はLeaseに引き継がれますので、どうぞ宜しくお願い致します。 (2021年10月1日 19時) (レス) id: 38aa326773 (このIDを非表示/違反報告)
切愛 - 私の端末で問題が発生しています。ログインしようとしてメールアドレスとパスワードを入力したら、その前のページに戻ってしまい、ログインが出来ません。解決方法が分からず、、しばらく投稿出来ないかも…ネタ自体はできているので…少々お待ちください。 (2020年3月31日 9時) (レス) id: a4a2215412 (このIDを非表示/違反報告)
切愛(プロフ) - ごめんなさい…投稿全然出来てません…学校休みになりましたので、今後はきちんと投稿させていただきます…どうかお見捨てならず付き合っていただけると大変光栄にございます (2020年2月29日 9時) (レス) id: 582fb3c1a0 (このIDを非表示/違反報告)
神代 雫(プロフ) - 初めまして。作品読ませていただきましたが、とても丁寧に書かれていて読みやすかったです。これからも更新楽しみにしています。頑張ってください! (2020年1月25日 11時) (レス) id: ebdbc134af (このIDを非表示/違反報告)
切愛(プロフ) - 皆様こんにちは、とうとうお話がいっぱいになりました。次の1話書け次第続編公開するので暫しお待ちを。あと更新出来なくて本当にすみませんでした!これからは更新頻度落ちないように頑張っていきます。まだまだ続きます、これからもどうかよろしくお願いします! (2020年1月14日 20時) (レス) id: 6f3c1f7dd8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:S/S x他1人 | 作成日時:2020年1月1日 20時

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