サカナは空を見上げた 【爆豪勝己】

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「あー、全員揃ってるか」





AM 8:36

雄英高校 1年A組の教室では
担任の相澤が、20人の生徒を相手に 気怠そうに問いかけていた。


「はい!!
1年A組 計20名、本日も全員出席しております!!」



右手を挙げて元気よく応える少年 飯田のお陰で
面倒な出欠確認もすぐに終わる。

相澤は出席簿を開くこともなく 次の話へと言葉を移した。





「昨日の屋内対人戦闘訓練だがー…」


相澤は昨日の授業内容について
爆豪、緑谷、の順に苦言とアドバイスを漏らす。

その他にもざっくりと 1日の予定などを生徒らに伝えてゆく。


何事も合理的に、がモットー な相澤のことを既に理解しているのか

生徒達は高校生らしく騒ぐことなく
静かにそれを聞き入っていた。





「…よし、以上」




終わりを迎えた連絡を皮切りに
生徒らは各々、徐々に口を動かし始める。



「なあなあ爆豪!! 今日の放課後メシ行こうぜ」

「あ？テメエらで勝手に行けや」

「んなこと言うなよ〜」
「近くに激辛料理の専門店開いたみたいだけど？」

「…………トロい奴は置いてくからな」




「あ デクくんっ、次の授業でね、この問題当てられそうなんだけど教えてくれない?」

「え、あ、ぼぼぼぼ僕で良いなら…!!」

「やった ありがとう!!」




仲の良いもの同士が
そうやって お喋りに花を咲かしているのも束の間


ガラッ!!


扉の開く大きな音がして
当然のように、全員の視線はそちらへ向けられた。









「…わあ、すごい視線だ」






突然姿を見せたその少女は
ぐるりと教室を見渡した後に言葉をこぼし、教卓に立つ相澤へと視線を向けた。

少年らも釣られるように そちらへ視線を向ける。




「遅刻だぞ美潮」

「すみません、方向音痴なもので」



無表情な担任と、無表情な少女。

それでも淡々と話がされていて
生徒らの頭には "?" が浮かぶばかりであった。



「え、えっと、相澤せんせー…?」


麗日のその声に やっと相澤はこちらを向き直し、少女の方へクイッと親指を向けて





「ああ、コイツはこのクラスの転校生だ」

「…はじめまして？」





冗談を言うかのように さらりと言いのけた。









「「「 はぁぁぁああぁぁ !!??? 」」」




当然のごとく
何も知らされていなかった生徒らの声は重なった。





「とても騒がしい」







《耳を塞いで目を閉じた》

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