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無線越しに 戦闘開始の声を聞いた。

私たちと彼らはぎりぎり目視できる位置にいる。
距離を詰めるのは難しい。


つまり、今この状況では遠距離攻撃のある方が有利だ。



「先手必勝、ね」
「任せろ」

トン、と地面に手をついた焦凍くんの指先から伝うように
相手の陣地へと氷が張られてゆく。


ビキビキビキッ !
と大きな音を立てる範囲攻撃。

少しでも逃げ遅れれば凍らされるだろうその氷を

「うおッ、あ、っぶね!」

爆豪くんは余裕気に
切島くんはギリギリではあるが 2人とも上に飛んで避けた。
チッ、と 隣で舌打ちが聞こえた。



「A、下がってろ」


スッと私を守るように 彼が前に立って背に隠される。

そこからチラリと見えた相手の様子
爆発的な彼が、なにかに対して怒り 身体を震わせていた。




「…スかしてんじゃあねえぞ半分野郎があ!!」




その理不尽な怒りは焦凍くんに向けられたようだ。

こちらに走り出した爆豪くんに 切島くんが続く。



ボンッ !


大きな音がしたと思ったが、それはいつものように爆風を起こす訳ではなく ただその場に異様な光を放った。
言うなれば閃光弾、だろうか。

目くらましに使われたその爆発の隙間から、硬化した腕を振りかぶる切島くんが見えた。



危ない、そう言うよりも早く

ガキン!と 硬い何かが弾き返されるような音が聞こえた。




「…油断も隙もねえな」

間一髪で氷の壁を張った彼が言う。
お互いにまた間合いを取り、緊張感の漂う空気を続かせる。





「…私 まだ何もしていないな」


第3者的立ち位置で見守っていた私は声をこぼす。

なんの攻撃も来なければ、来るような素振りすらない。



2人は、まず焦凍くんの端末から壊そうとしているらしく 私のことは後回しだった。

味方である彼は彼で 私を守るように前に立っている。



ぼーっとしていた私は
いつも通りの無表情の裏に少しの苛立ちを含めて、はあ と1つため息をついた。



「…少し力を貸してね」

ふと呟くと ″友達″ は機嫌良さそうに協力をしてくれるようで
私は静かに口角を上げた。


「ねえ、ちょっと」

少年ら3人に声を掛けると、全員が一瞬こちらに視線をやる。

その瞬間を外さずに
右手の指をパチン と擦り合わせた。



「私もいるんだけれど」



その台詞と同時に バシャン! 大きな音を立て
どこから現れたか分からない大量の水が、彼らの頭からつま先をびしょびしょに濡らしたのだ。



《 宣戦布告は大胆に 》

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キリ - 美潮ちゃんの見た目聞くとアリ○ル見たいですけど似せたんですか?とっても面白いです (2018年1月7日 5時) (レス) id: e989008aff (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - アカネ先輩さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!! ぜひ読みに行かせて頂きますね◎○続編になりますが、そちらで更新頑張りますのでお付き合いくだされば嬉しいです ありがとうございます! (2017年5月21日 21時) (レス) id: ca90c69f0b (このIDを非表示/違反報告)
アカネ先輩(プロフ) - めっちゃ面白い…タイトルに惹かれて一気に読みました!作者さんの書くかっちゃんがかっこいいです!私もかっちゃんと轟くんの短編書いているのでよかったらみにきてください!更新楽しみにしてます(´˘`*) (2017年5月21日 2時) (レス) id: ad572bf5b5 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - みいるさん» すごくすごく嬉しいです!!!もっと楽しんで頂けるように頑張ります、シリアス回続きますが根気強くお付き合いください…(泣)ありがとうございます!◎○ (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - るるるさん» ひえええ(泣)恐れ多い…ありがとうございます…頑張ります…(泣) (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西垣 | 作成日時:2017年4月16日 22時

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