【刀剣乱舞】壱と出会う話４章 (ページ6)

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俺がそう告げれば、
女は身構え、警戒の意志を見せた。

夜明けの黄金と淡い蒼色の瞳が俺を見据える。
警戒はしているが、敵意はない………
悪意を感じない。

………何だ。戦う意志があれば
それなりに対応したんだが。変な奴だ。

相手に戦う気がないなら興味はない。
興が削がれた。

戦わない者に一方的に
殺すような悪趣味は俺には無い。
相手が弱い者であれば尚更。

??『ｯ………一方的、ですね。
私は貴方に何かした覚えは無いんですが』

大千「…………そうだな。何もしていない。
安心しろ、冗談だ。

それに俺にはお前を殺せない。
その為の刃が………俺には無いからな」

??『………え、？』

本体が無ければ話しにならん。
結局刀剣としての俺は死んでいるのと同じ。
刀剣としても、武人にも成り切れん俺は
今や生きた屍と言った所だ。

大包平ではないが、戦う事が出来ない。
滑稽な話だ。

女を無視し、俺は再度穴を掘る。
ある程度掘ったら猫の亡骸を穴底へ置き、
土を被せていく。

女はまだ俺の近くにおり、
“それは墓か？”と聞かれた。
俺は“人間の見様見真似に作っているだけだ”と答え、

猫の死因は俺だと教える。
女はビクリと体を強張らせ、
驚愕した表情で、立ち上がる俺を見上げていた。

大千「俺は無差別に殺戮するバグらしい。
あんた、無防備だったぞ。
すぐに俺に殺されるのが落ちだな」

??『は、………？』

大千「分かったら無闇に近づかない事だ。人間」

俺は弱い奴を相手にする事に興味はない。
認めた覚えもない。

こう言えば女は俺には近づく事はあるまい。
そう考えながら俺は墓場から離れた。

───────────────

後日。内番があった為、収穫の為に畑に行くと
猫の墓にあの見習いがいた。
しゃがんで、墓を眺めている。

………もう来る事はないと思っていたんだが。

大千「何をしてる」

『！大千鳥、さん』

近づき、声をかけてみれば
少し目を丸くした女が俺を見上げていた。
よく見れば墓には花が添えてあった。
手も合わせていた所から、
墓参りにでもしていたのか。