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赤神「あいつはさ、人間を嫌ってるけど………
良い奴なんだよ。分からないだけで」









見様見真似で、猫の墓を作った彼。
本当は………殺したくは無かったのでは無いだろうか。
去り際の彼の背中は、どこか寂しそうだった。

無意識に殺戮をするバグ。
それはとても恐ろしいバグだが、
私から見た彼には人間に対する敵意はあっても………
どこか本心ではないように感じた。


彼が人間に敵意があるのは、
多分………太鼓鐘と燭台切さんと同じく
追われた身、だからだろうな。







赤神「人に慣れさせたいしね。
たまにでいいから、怖がらずに
話しかけてやってくれないかな。

君の為にもなると思うよ」







───────────────









??「何をしてる」

『!大千鳥、さん』








再び私は墓に行ってみた。
盛り上がった土の山に花を添えて、
手を合わせていた時、後から声をかけられる。

その声は猫の墓を作った本人で、
野菜の収穫籠を担いでいた大千鳥さんだった。









『………添え物が無かったから、私が』

大千「添え物?」

『いけません、でしたか?』


大千「………別に。墓参りの決まり事など知らん。
言っただろう。人間の見様見真似だと。

それに何故あんたはここに居る。
俺に殺されに来たのか。恐ろしくはないのか」



『怖くないと言ったら、嘘になるけど………
死者の為に墓を作る人が、
心を痛める筈がないし………

人を嫌ってる割には私に忠告してくれたから、
少し気になって』


大千「…………」

『内番、ご苦労様です』









私はそのまま、今日はここまでにしようと
畑の片隅に建てられた小さな墓を去る。

………本当だ。
殺戮するバグなんて無いんじゃないかってくらい、
何もして来ない。
ちょっとだけ怖かったのは
事実だったし、安堵した。


その安堵が、少し不謹慎だと思ってしまったくらい。



あの目は人を憎む目だった。
手元に本体があればすぐ様、殺されていたと思う。

………また、明日も来てみよう。






Aside〜end〜

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2021年2月27日 11時

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