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愛染「って、ちょ………おおおい！
な、泣くなっ！なっ！？」
蛍丸「な、泣かないでよ……
君のせいじゃないんだから」
ｵﾙｺﾞｰﾙ《うっ、うぅっ………
何故、やろ。止まらへんのです。
悲しくて、かなしくて………っ》
『オルゴール………、ｯ！？ｳｯ………、っ』
切国「！おい、大丈夫か？」
オルゴールはカツンカツンと
宝石の涙を流し続けた。
その様子を見て、泣き崩れる小さな少女の背に
触れようとした時。
ふらりと体が傾ぐ。
ま、まずい………オルゴールの精神が
揺らいだからか、憑かれてる私にまで影響が……
切国「顔色が良くないぞ」
『だ、いじょうぶ………ありがとう、ございます。
ちょっと眩んだ、だけ………』
切国「………すまん。愛染、蛍丸。
話してくれて感謝する」
愛染「力になれたならいいけどよ………」
切国「オルゴール、今日はもう止そう。
あんたは力が弱いんだ。霊力の力が強い
誌重に憑いているとは言え、
その体は長くは保たないだろう。
その内、元の姿に戻る。
泣くと疲れてしまうぞ。
誌重にも影響が出てしまう」
ｵﾙｺﾞｰﾙ《ｸﾞｽｯ…………分かり、ました》
オルゴールはそう言って、スゥッと消えた。
代わりに、蛍丸が持っていたオルゴールが
僅かに”ﾘﾝｯ……“と小さく鳴った。
寂しげに鳴ったそのオルゴールは
それっきり鳴らなくなってしまった。
蛍丸「あ、戻った………」
愛染「さっきのオルゴール、
かなり力が弱いな………
今にも消えちまいそうだ」
切国「見たところ、保って明日だ」
『！そんなに、力が………？』
切国「生まれたての付喪神は至極曖昧なんだ。
完全に付喪神としての姿を得るには難しい。
オルゴールは無理矢理あんたの霊力を利用して
人の体を保っていたようだが………
こうなればしばらく目覚めないだろうな」
そんな。彼女はそこまで明石国行と言う刀剣に
思入れがあったのか………
自分が消えかかる中で、
それでも会いたいと願って。
蛍丸「国行に用があったのはオルゴールだったんだ。
オルゴールは国行になんの用があったの？
まだ体もしっかり保てないのに、
こんなに弱ってまで………
国行に会って………どうしたかったのかな」
切国「会いたかった。それだけらしい。
会って、感謝したいのだと」
蛍丸「…………そうなんだ」
切国「部屋に戻るか？誌重」
『………はい』
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2021年2月27日 11時
