†佰伍拾伍† ページ36
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面影「【今の夢、お昼の続き】」
『“忘れた”って言ってた所？』
面影「【眠ったのは嘘じゃないけど、
今見せたのは、俺が現在まで眠る直前の話】」
それから、彼はスケッチブックに文字を書き始める。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
面影「【今思えば、あの時が本丸から
追放された日だったと思う。
明石と愛染、怒ってた。
妖と同じくらいの憎しみの籠った目だった。
俺の知らない二振りの顔。
怖かった。
それから二振りは本丸に帰れず、
時間だけが過ぎて、時代が変わって行った。
そしてある時から蛍丸を助けるために、
二振りは歴史を変えようとした】」
彼が言うには、蛍丸とは世界大戦の戦後に
“刀狩り”にあって…………
その際どさくさに紛れ、現在行方不明になったそうだ。
時間遡行の術を失った二振りは
せめて刀狩りから蛍丸を助けようとしたようだ。
面影「【だから俺が止めた。歴史を守っていたのに、
そんなことしたら時間遡行軍と同じになる。
二振りから神気を奪って、人の形を保てなくした】」
『！！』
面影「【悪いことしたのは分かってる。
それでも二振りが二振りじゃなくなるのだけは、
どうしても嫌だったから。
だから〜〜⊆⊇∇∨∀∋】」
その時、スケッチブックの紙の上で
走らせていたペンが無造作になって、
字が滅茶苦茶になり、手から名前ペンが滑り落ちた。
口元は笑っていた。でも面影様の瞳からは
涙が溢れて…………流れていって、
落ちた雫はスケッチブックの字を滲ませていった。
面影「ぃ、あだ…………っ(い、やだ…………っ)
ほた、る…………あう…………(蛍丸)
ごえ、ん…………(ごめ、ん)
おえが、おえが…………！(俺が、俺が…………！)」
とうとう本格的に泣き出して、大きな体にも関わらず、
まるで子供のように泣きじゃくるその姿は
見るに耐えなかった。
私は彼を抱き締め、右手を握って
あげる事しか出来なくて。
上手く話せない彼の言葉が、
いつまでもいつまでも。
私の脳裏から離れてくれなかった。
その時、ふと私は違和感を感じて、
彼の右手を見た。
…………握れている？
実態のない彼の右手を、私は握れている。
暖かみも感じる…………
私の霊力と、面影様の神気が
結ぶような感覚を私は覚えた。
†佰伍拾陸† “新たなる約束”→←†佰伍拾肆† “蛍の欠片”
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冷泉 雪桜(プロフ) - tomo10260403さん» コメントどうもありがとうございます！薄桜鬼も読んでくださって……感謝でしかないですね！これからもよろしくお願いいたします (2019年9月17日 12時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
tomo10260403(プロフ) - 冷泉 雪桜さまの作る作品の虜になりました！薄桜鬼も刀剣乱舞も一気に読んでしまって、小説を読むのが苦手なほうなのですが、のめり込むようにするすると入ってくる文章に、夢中です！ (2019年9月16日 17時) (レス) id: f4aa91fff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年9月6日 1時
