†佰参拾玖† ページ20
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瀬《よい天気だ。悪くない》
『………………』
瀬《ｸｸｸｯ…………ふて腐れておるな、御用人》
『誰のせいで…………』
瀬《ふむ、八ツ橋はやはり旨いな》
こんの、嫉妬鬼…………私の気も知らないで！
結局再び私は現世の京都に戻ってきてしまった。
勿論、私一人ではない。
とりあえず事情を知っている前田様と獅子王様、
そして膝丸様と共に居る。
本丸を出る途中で皆凄い勢いで私を
引き留めようとしたのでちょっと気が引けたが
流石に膝丸様と橋姫様を二人っきりにするのは
不安だったのでこうして同行しているわけだ。
前を歩く橋姫様はどこから見てもその辺にいる
普通の女子学生にしか見えない。
まるで修学旅行を楽しむように、
八ツ橋を頬張りながら、ルンルンで歩いている。
嗚呼なんでこうなっちゃったかな…………
獅子「おおっすっげー！
あの辺り覚えがあるぜ！懐かしいな！！」
前田「獅子王様、遊びに来た訳ではありませんよ」
獅子「分かってる分かってる、
あ、あの辺りじっちゃんと
一緒に見たような気がするぜ！」
膝丸「君、何故獅子王を選んだのだ…………」
『い、いや、平安仲間？がいた方が
気も楽になれるんじゃないかと…………』
他にも平安と言えば三条と
呼ばれている四振りが確かにいるが、
皆目立ちすぎるし、小狐様は橋姫様を斬る勢いだし、
石切丸様は本丸を任せたかったから
結局思い当たる刀が彼しかいなかったのだ。
そう伝えると、膝丸様は少し呆れ混じりに息を吐く。
膝丸「…………まあ、懐かしいと言うのは、
俺も否定はしないが…………」
『…………』
膝丸様は少し唇を緩めた。
付喪神とは個差が有るものの、約百年の月日を立つと
宿るとされている…………
当初の彼は刀でしかないために、
その目で見ることは出来ないが
その場にいた記憶はあるのだろう。
どこか彼も楽しんでいるように見えたのは、
私の、思い過ごしだろうか。
そう思いながら、私は観光案内に
あったマップを広げる。
その時、とある広告に目が止まる。
…………髭切、膝丸同時展示会…………？
本霊の二振りが、同じケースで展示されるって。
明日からの展示…………
幸か不幸か、タイミング悪すぎでしょ。
この広告を見て、私は再び頭を抱える事になる。
皆がウキウキしている中で、
私だけが不安ピーク状態になったまま、
髭切が展示されている
北野天満宮を目指したのである。
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冷泉 雪桜(プロフ) - tomo10260403さん» コメントどうもありがとうございます！薄桜鬼も読んでくださって……感謝でしかないですね！これからもよろしくお願いいたします (2019年9月17日 12時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
tomo10260403(プロフ) - 冷泉 雪桜さまの作る作品の虜になりました！薄桜鬼も刀剣乱舞も一気に読んでしまって、小説を読むのが苦手なほうなのですが、のめり込むようにするすると入ってくる文章に、夢中です！ (2019年9月16日 17時) (レス) id: f4aa91fff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年9月6日 1時
