†漆拾伍† “黎明” ページ36
Aside
“起きなきゃ…………僕が兼さんを、助けるんだ”
“そんな顔、らしくないよ”
“ほら、ちゃん…………と”
悲しみを含んだ声がする。
堀川様だ…………ここは、
彼が折られるあの雨の日の記憶。
今まで見えなかった彼の最期の記憶。
“動かない…………体が動かない”
“嗚呼、兼さんが僕を呼んでるのに”
“どうして僕の体は動いてくれないんだ”
“いつも、そうだった”
“土方さんが死んでしまう時も、
僕にはどうすることもできなくて”
“それでも、顕現しても土方さんを誇りに思って、
歴史を守り、信念を曲げずに歩く兼さんを”
“支えたかったのに”
“兼さん…………”
───“ごめんね”───
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『ｯ………………』
体が、熱っぽい。
目が覚めると今までよりも酷く体がだるく感じた。
堀川様のものだ。こんなに弱って…………
私も体が思うように動かないから、
次に起き上がったら、消えてしまうんじゃないか？
不安になってきた私はゆっくりと
上半身だけ起こしてみる。
外は朝日が昇ってる。もう、時間が…………
スッ
『ｯ！？和泉守、様…………？』
和泉「………………」
そこへ襖を開けてやって来たのは和泉守様だった。
彼は本体を腰から外して、ドカリと私の前に座る。
一息入れた所で、口を開いた。
和泉「国広は？」
『…………返答はないです』
和泉「そうか。まあいい…………
国広に話があってきた。聞こえてねぇかもしれないが
お前も国広の代わりに聞いてくれないか」
私は彼の言葉に頷くと、
懐からカサカサと何かを取り出した。
あれは文だろうか。
現代文になれているから何て書いてあるか
ちょっと分からない箇所はあるが、大体は読めた。
和泉「何が“ごめん”だ。謝るな」
『！』
和泉「元はと言えば、俺がいけなかったんだ。
俺は土方さんのように真っ直ぐ
自分が信じた道を進んできたつもりだ。
そんな先しか見ていない俺の代わりに、
背中を守ってくれていたお前を、
俺は一度だって責めた覚えはねぇぞ」
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冷泉 雪桜(プロフ) - ブドウ農家の一人っ子さん» 薄桜鬼からすっとんで来てくれてありがとうございます！薄桜鬼の方がネタ切れになって中々進めれる事が出来ませんが、これからもよろしくお願いします！ (2019年8月28日 12時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ農家の一人っ子 - 薄桜鬼のほうからとんできて一気読みしました・・・冷泉さんの作品は控えめに言ってどれも神ですね(語彙力の喪失) これからも応援しています！！ (2019年8月27日 20時) (レス) id: 70ec3f117a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年8月20日 1時
