†陸拾漆† ページ28
･
和泉「…………懲りねぇ奴だな。
そんなに斬られたきゃお望み通り斬ってやるよ」
“(ほらほらほらほら！！！
無理だって！斬られるって！！)”
『“(大丈夫大丈夫！)”』
風呂上がりで微妙にまだ乾いていない
髪をかきあげながら自信満々に答える堀川様。
いやいやいや。どこからそんな自信があるの。
任せてって言ったから体を貸したけど、
これ完全に斬られるぞ。
無理だろ、何考えてるんだ。
そんな私の制止の声をガン無視する堀川様。
目の前には構える和泉守様。
……………………終わった。
『“兼さん、最近ご飯まともに食べていないでしょ？
好きな沢庵まで残しているし、
好き嫌いしたら駄目だよ！
ちょっとそこに座って！”』
和泉「…………は？」
ええ！なるだろうさ！！
“は？”ってなるだろうさ！！！
いきなり何を言い出すかと思えば説教って、
母親か君は！！？
和泉守様は拍子抜けたような反応をして、
こちらをじっと見るだけだ。
ええっ！なるだろうさ。
“何言ってんだこいつ”ってなるだろうさ！
和泉「？？？」
『“大体兼さんはいつも短気すぎるよ！
女の子に向かって味噌汁を投げるなんて。
と言うか、前馬当番サボったよね！”』
和泉「ｯ！………………」
『“ちょっと、聞いてる？兼さん！！”』
和泉「お、前…………国、広…………か？」
その時、大人しくしていた和泉守様は
何かに気づいたように顔を上げる。
震えた声だった。信じられないような、
状況が飲み込めなくて、言い表せないような
そんな…………顔だった。
蒼い瞳。歌仙様よりも少し明るい瞳。
堀川様と、同じ色の瞳。
初めてまともに彼の目を見たような気がした。
『“ｯ………………”』
和泉「目の色も、髪も…………
いままで感じなかった神気も…………
国広なんだな？そうなんだな！？」
『“兼さん…………”』
和泉「すまねぇ、国広っ！すまなかった…………
俺がいながら、あの時…………
隊長だった俺が、選択を間違えたっ」
その時、和泉守様は“私”の両肩を掴んで
“私”が堀川様だと確信すると頭を下げた。
髪が邪魔して、表情は見えなくて。
でも彼の頬には雫が流れ出ていた。
真っ直ぐな涙だった。
和泉守様の震える大きな手から、
記憶が流れてくる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 504人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冷泉 雪桜(プロフ) - ブドウ農家の一人っ子さん» 薄桜鬼からすっとんで来てくれてありがとうございます！薄桜鬼の方がネタ切れになって中々進めれる事が出来ませんが、これからもよろしくお願いします！ (2019年8月28日 12時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ農家の一人っ子 - 薄桜鬼のほうからとんできて一気読みしました・・・冷泉さんの作品は控えめに言ってどれも神ですね(語彙力の喪失) これからも応援しています！！ (2019年8月27日 20時) (レス) id: 70ec3f117a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年8月20日 1時
