†伍拾伍† “折れた刀身” ページ16
･
薬研「…………こいつは」
『“堀川国広”…………？』
書に浮かび上がった字は神様と言うより
何か凄い人間の名前って感じの名前だった。
確かに現世では人神として
祀られている歴史上の人物はいるが、
この名前は聞いたことはない。
神話とかには詳しい方だけど、分からないな。
と私は首を傾げていると、
一緒に馬の世話を手伝ってくれていた
薬研様と前田様が少し複雑そうな顔をしている。
『どうしたの？』
前田「…………それは、
この本丸にいる刀剣の一振りですよ」
『え？じゃあ刀剣男士？』
薬研「嗚呼…………大将、昨日の夕方に和泉守と
会ったって話だが、堀川国広は和泉守と同じ
土方歳三の愛刀の一つだ」
『そ、そうなのか』
どうしよう、私あれ以来ちょっとトラウマなんだが。
しかし、浮き出ている名の神の御用を
放って置くわけにもいかないし…………
どんな神様だろ…………
もしも和泉守様のセコム的な人で、
“きやすく近づくなや”とか脅されたらどうしよう。
一気に血の気が引いた私を
前田様があわあわとなだめてくれた。
薬研「…………」
『？薬研様？』
薬研「…………嗚呼なんでもねぇよ。
ただ、ちょっとな…………」
『え、じゃあやっぱり…………』
前田「し、主君、大丈夫ですよ！
堀川さんは物腰が柔らかで、優しい方ですので！」
薬研「堀川なら大将には
手荒な真似はしないとは思うが、
問題がそこじゃなくてだな…………」
『？問題？』
薬研「…………実は、堀川は…………
･
“刀身が折れている”んだ」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『折れて、る…………？』
その言葉を聞いて、私は息を飲んだ。
刀身が折れているなんて、彼らにとっては
人間で言う“死”を意味する言葉であるはず。
どういうこと？折れているなら、
どうして
浮き出ているのだろうか。
そんな事を考えていると、
カシャンと薬研様は水が入ったバケツを置く。
薬研「俺もあまり詳しくは聞いていないが、
和泉守と堀川は遠征先でトラブルがあったらしくてな。
その時、折れたんだ」
『トラブルって……………』
私はそう問うけど、
その辺は薬研様でも分からないらしい。
ふるふると彼は何とも言えない表情で
首を横に振るばかりだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 504人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冷泉 雪桜(プロフ) - ブドウ農家の一人っ子さん» 薄桜鬼からすっとんで来てくれてありがとうございます！薄桜鬼の方がネタ切れになって中々進めれる事が出来ませんが、これからもよろしくお願いします！ (2019年8月28日 12時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ農家の一人っ子 - 薄桜鬼のほうからとんできて一気読みしました・・・冷泉さんの作品は控えめに言ってどれも神ですね(語彙力の喪失) これからも応援しています！！ (2019年8月27日 20時) (レス) id: 70ec3f117a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年8月20日 1時
