+参佰伍拾伍+ ページ35
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赤の一色しか見えなかった。
そこは地獄の世界。
何もかもが燃えていく光景だった。
燃えて、燃え尽きて、灰になってく。
そして最後は何も残らない。
どこかで助けを求める声がする。
“助けて”と…………
嗚呼これは、忘れていた記憶の一つだろうか。
背中に刻まれた消えることのない傷跡がうずく。
ヒシヒシとした痛みが背中を通して、
心の臓に行き届いて、痛い。
人が、燃えている。
生きようとあがきながら、
悲しみを深く深く胸に刻みながら、
今まで感じたことのない痛みを味わいながら、
死に絶えて行く………
苦しい、痛い。
忘れていた筈なのに。
体に刻まれた痛みは、思い出させた。
その絶望の光景に、目を逸らすことが出来なかった。
見たくなかったのに、体は言うことを聞かなくて。
気づいたら俺は火傷の跡がある左腕を
力のある限り握りしめていた。
目の前が、揺らぐ……………
『ｯ……………！』
原「男なら涙くらい拭いとけ、山野」
『………ぁ、』
その時、温かい大きな手が後ろから伸びてきて、
俺の視界を覆った。
それは原田さんの手だった。
赤い世界から目を逸らすことが出来なかった俺は
その手の暖かさに、落ち着ついた………
後ろから聞こえた言葉は、厳しい物の筈なのに、
声音は酷く優しい物で…………
その手に、その声に、救われたような気がした。
池田「山野先輩………？どうして泣いて……………」
原田「池田、濡らした手拭い持ってきてやってくれ。
目に燃えカスが入っちまったんだろ」
池田「！分かりました！」
そんな会話が聞こえて、
今の自分がどれほど弱い存在か、
どれほど小さな存在かを思い知った。
俺があの時、動揺してしまったから、
罪もない人々を巻き込んでしまった。
あの時、ナルギを倒せていたら、
冷静な判断が出来ていたら………
きっとここまでの被害はなかった。
冷静な判断が出来ていなかったのは、
自分の価値を見出だしていなかったからだ。
でも、分からない。
俺がここにいる価値とは？
俺が皆の枷になっているのでは？
分からない……………
俺には、分からない……………
俺は…………何？
Aside〜end〜
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冷泉 雪桜(プロフ) - ひゃくまるさん» コメントありがとうございす！そうですね。いつか書けたらいいなと思います。これからもよろしくお願いしますね！ (2018年12月26日 15時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃくまる(プロフ) - これから山野さんがどんな風に成長していくか楽しみです！作品を読んでて思ったことが山野さんは辛いこととか抱え込んでしまうキャラなのでいつか誰かを頼れるようになるといいですね(*´-`) (2018年12月26日 1時) (レス) id: 057beedb8c (このIDを非表示/違反報告)
なや(プロフ) - 返信ありがとうございます！これからも楽しみにしております(´∀｀*) (2018年12月2日 21時) (レス) id: 47f47e69bf (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - なやさん» なやさんとこの小説を結びつけてくれたのも新選組が紡いでくれた縁だと思います。更新が遅い日々が続いてしまいますがこれからもよろしくお願いします(*´-`) (2018年12月1日 23時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - なやさん» なやさんコメントありがとうございます！私はただ誰かと共感したくて自己満で書いただけですが、なやさんのような人に読んでもらえるなんて私としても嬉しく思います。 (2018年12月1日 23時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2018年7月10日 16時
