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+参佰弐拾弐+ ページ2









千鶴《出来ましたよ、新田さん。
どこか痒いところとか、苦しいところはありませんか?》


新田「嗚呼………」





千鶴《では、私は行きますね。安静にしていてください》

新田「ありがとうよ………山ちゃんもまた、な?」

『隠れて酒を飲む事はしてくれるな』

新田「へぇへぇ………」








そして新田と安藤が眠る部屋を後にする。
少し気まずい空気の中、二つの足音が辺りに響く。









『雪村さん』

千鶴《?はい?》


『…………雪村さんから見て、二人の容体はどうですか?』

千鶴《それは………》









俺の問いに、雪村さんは躊躇った様子で
手元の血で汚れた晒しを見つめる。

やはり、あまりよくないのだろう。
医者の娘である雪村さんだ。
きっと何かを悟っているのかも知れない。








『……………すみません。
そこまで青い顔にさせるつもりは
なかったのですが…………失言でしたね。

忘れてください』


千鶴《いえ、そんな………私がいけなかったんです》

『?』


千鶴《私が、もっと早く四国屋に………
土方さんの所に行けたら、

きっと………お二人や奥沢さんが
傷を負う事もなかったはずなんです》









雪村さんは歩く足を止めて、
手に持つ桶をぎゅっと強く掴む。

心配してくれているんだ。
彼女は、優しい人だから。

でも、それは違う。









『俺達は死の覚悟で刀を振るっています。
二人だって、その覚悟の上で戦っていた。

あなたのせいではないですよ』


千鶴《………》


『後からこうすれば良かったと思う事は簡単です。
しかし、未来の事なんて、誰にも分からないものですから』


千鶴《…………はい》

『二人を看ていただき、ありがとうございます』


千鶴《私に出来る事はこれだけですから………

山野さんも、これからもお二人の為に
よく顔を見せてあげてください。

きっと、お二人共心強いと思いますよ》


『はい』


千鶴《では次は八木邸ですね。行きましょう》









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冷泉 雪桜(プロフ) - ひゃくまるさん» コメントありがとうございす!そうですね。いつか書けたらいいなと思います。これからもよろしくお願いしますね! (2018年12月26日 15時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃくまる(プロフ) - これから山野さんがどんな風に成長していくか楽しみです!作品を読んでて思ったことが山野さんは辛いこととか抱え込んでしまうキャラなのでいつか誰かを頼れるようになるといいですね(*´-`) (2018年12月26日 1時) (レス) id: 057beedb8c (このIDを非表示/違反報告)
なや(プロフ) - 返信ありがとうございます!これからも楽しみにしております(´∀`*) (2018年12月2日 21時) (レス) id: 47f47e69bf (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - なやさん» なやさんとこの小説を結びつけてくれたのも新選組が紡いでくれた縁だと思います。更新が遅い日々が続いてしまいますがこれからもよろしくお願いします(*´-`) (2018年12月1日 23時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - なやさん» なやさんコメントありがとうございます!私はただ誰かと共感したくて自己満で書いただけですが、なやさんのような人に読んでもらえるなんて私としても嬉しく思います。 (2018年12月1日 23時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2018年7月10日 16時

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