【刀剣乱舞】その縁、巡りゆく定め (ページ38)

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†漆佰漆拾漆† ページ38

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様々な刀剣男士達を眠らせた。
その度に流れてくる記憶。
悲しい記憶達が、霊力を通して伝わった。

長谷部様の朱鷺を思う気持ち。
左文字様達の悲しみの気持ち。
他にも様々な記憶に触れた。

こんな思いをしながら、
彼らは人を憎み、愛していたんだな。

ﾂﾑｸﾞ「(長谷部様は少し邪神の邪気に当てられていた。
清める必要があるな………
それは専門的に黒田に任せたほうがいいか)

後………他に、居ないか？」

本丸が静まり返り始めた。
俺が一振りずつ顕現を解いていたが、
俺の手で眠る事を断る刀剣もいたから
全員とまではいかなかったが、
あらかた終わったようだ。

後は居ないか、静かになった本丸を歩き回る。
すると、ちらちらと降る雪が目に止まった。
季節外れの雪だ。

もう春になると言うのに。
雪はシンシンと積もっていって、
あっという間に辺りを銀世界へと変えてしまう。

そこで………また命を見つけた。

“嗚呼そうだ、御用人殿”

“鶴丸国永と言う刀に出会ったら、
彼の者の事も頼んで良いか？”

“俺はちと行けそうにないからな”

“刀剣の中でも、奴は心に傷を負っているだろう”

“………開放してやってほしい、縁を紡ぐ者よ”

出会いは、最悪の形だった。

ﾂﾑｸﾞ「………貴方が、鶴丸国永様でしょうか」

しんしんと、雪が音を消した世界で………
とある神はそこにいた。

しかし、地面から視線をこちらに向ける
その瞳は、酷く赤かった。

涙の痕……………だろうか。
沢山、沢山泣いたようだった。

鶴丸「……………人間、か」

ﾂﾑｸﾞ「はい。ツムグと申します。
神々の願いを叶える役目を担う、

“御用人”なる者です」

鶴丸「御用、人……………
嗚呼、聞いたことがあった、な。

三日月の奴が、言っていた人間とは、
君のことかい………？」

ﾂﾑｸﾞ「三日月様が言う“紡ぐ者”ならば、私の事かと。
私の書に貴方の名が刻まれていましたので、
こちらに伺いに参りました」

俺がそう言うと、彼はただ“そうか”と短く答えた。

歩く途中で書に刻まれた“鶴丸国永”と
言う字に似合った、頭から指の先まで
真っ白で、美しい神だった。

これまで自分は多くの神を見てきたが、
彼ほど美しい神は居ないと、その時感じた。