【刀剣乱舞】その縁、巡りゆく定め (ページ16)

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†漆佰伍拾伍† ページ16

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燭台「(主………)」

鶯丸「して、お前はお前でらしくも無く
落ち着きが無いな」

燭台「鶯丸さん………」

鶯丸「焦り過ぎても周りに気づけなくなるだけだ。
主は見つかる。大丈夫さ」

燭台「………でも、心配で」

燭台切がそう言って顔をそらす。
鶯丸からは燭台切が今
どのような表情をしているかは
髪で見えなかったが、何となく察していた。

ふと燭台切は口を開く。

燭台「僕達は、彼女に助けられてばかりだ。
彼女は普通の人よりも優しい人だから、
皆安心して彼女を頼ったり、身を預けられる」

鶯丸「そうだな」

燭台「でも、聞いたことが無いんだ」

鶯丸「？何がだ？」

燭台「”助けて“って………
鶯丸さんは一度でも聞いたことがあった？
僕は無かったよ。

あの子の口から、聞いたことが無かったんだ」

鶯丸「………」

燭台「僕らの事は躊躇いもなく
手を差し伸べてくれる彼女だけど、
自分が助かろうとはしない。

もっと早く気づくべきだったんだ。
彼女は本当は………誰よりも寂しがりなのに」

”一人になる事が、一番怖い事なのに“

燭台切は山姥切の一件で、
九重の過去をその目で見て来た。

思えば己が帰るその日、唯一幼かった彼女が見せた
”我儘“であっただろう。

その時、燭台切は悟っていたのだ。
九重が一番恐れている事を………
“孤独”と言うものを。

燭台切の記憶が鮮明に蘇る。
縋るように、弱々しく引き止める小さな手が、
小さな肩が………頼りない声が震えていた。

それが強く燭台切の中に残っていた記憶であった。

燭台「選ばせてしまったのが、悔しいんだ。
あの子が一番恐れている事と……
僕らを彼女は天秤に掛けて、
そして一番恐れている“孤独”を選ばせた。

早く見つけてあげなないと、
今度こそ………主の心が壊れてしまう」

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