【刀剣乱舞】その神、縁結びを望む者

†漆佰拾漆† ページ18

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あんたは、俺自身を見てくれた。
俺を必要としてくれた。
それが何よりも、嬉しく思えた。









夜蝶「紅羽さん！ほらほら、出来たわ！
やっと出来た私の“式神”！

？あら私の式、名前と同じ“蝶”なのね」


紅羽「……上手く、できている」


夜蝶「紅羽さんの式神は“鴇”なんでしょう？
不思議ね、名前と同じ動物が
式神になるなんて」


紅羽「……名は、その者を示す、と言うからな」

夜蝶「へぇ？あ、消えちゃったわ」


紅羽「夜蝶は力が強いが故に
形の維持が難しいんだろう。

お前の力は強すぎて脆いのだ」









紅羽は夜蝶に審神者の知識を与えた。
奴が木の板で出来た札を持つと、
その札は一瞬で赤い鳥になる。

強く、大きな翼を広げた鳥は空を飛んでいく。


その姿を俺は遠くからいつも見ていた。

紅羽は、感情を知らない。
俺達よりも刀らしい人間とも見えた。
たが夜蝶と共にいるときは、
表情は変わらないはずなのに酷く穏やかに見えた。


俺は刀だ。人の感情は分からない。
だが………幸せそうに笑う夜蝶が、好きだ。
それだけは分かる。

夜蝶の願いも望みも、
全て叶えてやりたいと思うほどに。









切国「(そうだ。そうやって笑っていてほしい)」



夜蝶「あ、山姥切ー！！」



切国「(嗚呼そうだ。俺はここに居る)」









俺に向かって彼女が手を振る。
俺はそれに振り返す。

それだけの事だと言うのに、
心から安心感を覚えていた。


これが、仕える………と言う事。
写しとして飾られる事ではなく、
人の手に“使われる”と言う事だろうか。









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夜蝶「桜が綺麗よ、一緒に見ましょ！」

切国「主……あんまり走ると、転ぶぞ」

夜蝶「平気だよ、全く……貴方は過保護だね」

切国「あんたが色々と抜けてるからだろ」









………最期に見た笑顔は、いつだったか。

桜並木の下で、笑ってる主を見た時だったか。
主は桜が好きだった。
その時も、幸せそうに笑っていた。








夜蝶「それに、大丈夫。ほら、手を繋ごう！」

切国「手………？何故繋ぐ必要が……」


夜蝶「貴方は、私を守ってくれるんでしょ？
こうしたら………離れない。

貴方が居れば、怖くない」


切国「主…………？」


夜蝶「約束する。私は貴方と一緒にいる。
私の初期刀……始めての………私の友達」









その日が、最後だった。

主が心から笑ったあの日を、忘れないだろう。
そして、俺は後悔するだろう。

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