†陸佰玖拾肆† ページ36
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“いい?明るい内に帰るんだよ”
“僕は夜目が効かなくてね。
狭いところも上手く戦えないんだ”
“でもそれは君を狙う妖怪も同じ”
“どうしても一人なっちゃったら、
僕が行くまで、狭いところとかに
逃げてやり過ごすんだよ”
“僕はいつも、君のそばにいるから”
狭い所………狭くて、戦いにくい所。
小さい武器の妖怪以外なら、やり過ごせるかな。
残った妖怪なら、私一人でも
相手に出来るかも知れない。
太鼓「ちょっ、ちょっとタンマ!
九重、あんなの平気だって!」
『そうやって言ってる子が先にやられちゃうのっ!
ごめん、ごめんね、私の………私のせいでっ』
薬研「!」
『ごめん………』
油断したんだ。助けてもらった事がなかったから、
心のどこかで嬉しかったんだ。
調子に乗っちゃったんだ。
助けなくちゃ、私が…………二人をっ!
そう思って、必死に走ってたら林が見えた。
そこには竹林もある。
あそこなら何とかなるかも知れない。
その奥は確か小さな神社、鳥居がある。
上手いこといけば、撒ける。
きっと、居るはず。
──────────────────
竹林の中を走っていく。
足の速さには自信があるけど、
まだ追ってくるなんて。
でも小さいのばかりだ。
何とかなるかも知れない。
『ハァハァ…………ここまで、これば……!』
太鼓「無茶苦茶だなっ!
いきなり引っ張って………!」
『ッ………!危ないっ!』
その時、太鼓鐘君の後ろに妖怪が見えた。
駄目、彼は駄目だ。
殺らせない、私を助けてくれた人達なんだ。
私は太鼓鐘君の前に出て、彼を庇った。
二人だけは、私のせいで酷い事に
巻き込みたくない!
その時、ふわっと桜の花が見えた。
桜吹雪が渦巻いて、庇っていた筈の太鼓鐘君が
いつの間にか居なくなってて。
太鼓「さっすが主だなっ」
薬研「ハッ………俺達をお構いなく庇うたぁ、
惚れ直したぜ、大将」
『ぇ………』
太鼓「ド派手に行こうぜぇ!!」
桜吹雪の中から現れた二人の姿は、
さっきと違ってて………
私を守るように前に出た二人から、
桜のいい匂いがした。
短い刀を構えた二人は、
楽しそうにニヤッと笑ったんだ。
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冷泉 雪桜(プロフ) - 雨宮@たふるさん» コメントありがとうございます。これからもよろしくお願いします (2020年3月12日 13時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮@たふる - いつも楽しく読ませてもらっています。続編おめでとうございます。たまに来る燭さに、にきゅんとしてます!これからも頑張ってください。応援してます。 (2020年3月7日 15時) (レス) id: 3cde28d88e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2020年3月5日 19時