【安室透】からかい上手の上司さん２【降谷零】

No.72 ページ24

《今日、ついに怪盗キッドの犯行予告日となりました！ご覧下さい！この沢山のキッドコール！果たしてキッドは現れるのでしょうか！そしてキッドはあの事件同様女性を盗むのか！》

スマホから流れるテレビ中継を見て、私は思わずフッと笑う

テレビ中継は会場の外から中継をしている、キッドファンと報道陣、警察官で溢れかえっている、前回より人が多い。

W杯が始まって、渋谷でバカ騒ぎして応援しているあの人混みを思い出すなぁ

警察官なりたての頃、研修で渋谷の交番勤務になったが、あれは本当に謀反者達だらけで大変だったな。

と、交番勤務時代をふと思いだしながら見ていると

「そろそろ着くぞ。」

隣で車を運転させていた上司が声を掛けてくる。

会場の裏の駐車場に車を停めて私の乗っていた助手席の扉を開けてくれる

エスコートされるのは相変わらず慣れそうにないな。むず痒い思いを抱いていると

「お手をどうぞ、シンデレラ。」

そう言って降りようとしていた私に相変わらず腹立たしい笑みを浮かべながら手を差し伸べてくる。

「…このヒールを履いてきて最初不機嫌な顔をしていた貴方がよくそんな顔して言えますね。」

今日の服装は前回とは違うけどナイルブルーのヒールを履いている。朝実家にお迎えに来て、この靴を見た時の上司の顔は、徹夜して機嫌が悪い時の顔と同じだったのだが

今はその機嫌の悪さも何処かに行って、今は安室透の時の顔になっている。相変わらず切り替えがお上手な事で…



「まぁ、あれは、前回の自分の不甲斐なさを思い出してしまいましたから。今回はそうはいかない…。」

私の手を引いて車から降りさせる。車のロックを掛けて、そっと私の腰に手を置き、引き寄せて

「…絶対に離れるな。」


そう言って私を見た。その青く透き通る目の中に私がしっかりと映る位真っ直ぐ私を見てくる

その目に私は思わず息を呑む。


「わ…分かりました…。」


…この後を考えると私の中にある微かな上司への良心が痛む。


でもまぁ、もうここからは意地だよな。止められない。悪く思わないでくださいね。

そんな事を考えているなんて思っていないだろう上司は、私を会場の裏口へと連れていった。

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