Taichi Nanao.H ページ1
『虚言癖』
▽
彼はいつもノックをしない。
勢いよく部屋のドアが開いたかと思えば、彼はいつもその勢いで物を口に出す。
「Aチャン！
街にトラが出たらしいよ〜〜！」
「へぇ、どんなトラ？」
私が手元に持っているスマホから目を逸らさずにいると、彼のほうからチッチッチッと舌を鳴らす音がした。
「今回のは白いらしいッス」
「ホワイトタイガーってこと？」
「そう！」
穏便なこの街、車も人も多く通る街だというのに、そんな猛獣がやって来るはずがない。
これは彼の虚言だ。
「Aチャン、せっかくだから見に行かない？」
彼はなんでもない風に言ってみせたようだけれど、赤い髪に埋もれ掛けたその耳はその髪の色のように染まっていた。
さて。
「……オオカミ少年さん。もうバレバレです」
「へっ」
それがいつもの嘘だとバレる前に、彼は私を
そしてバレてしまえば開き直ったように残念がる。
「なんだ、残念……」
「いつも思うけど、
もっとわかりにくい嘘にしようよ」
「だって、ホントに嘘ついてる感じにしちゃうのは嫌で……」
彼のそういうところがあざといのだ。
私のために、彼のためにならない嘘をつく。
そういう彼が可愛くて、どうしても私は彼にいじわるしてしまう。私こそ開き直ればいいのに、だ。
「Aチャン、もう直接言わせてもらうッス」
「……なに？」
「デート、着いてきてくださいッス。
もうAちゃんに嘘つくの、心苦しい」
彼はあたかも犬のように、わかりやすく感情を表した。
私の名を表すその呼び名も、心なしか印象が変わった気がしてドキリと心臓を鳴らさずにはいられなかった。
駄目だ。
これ以上、彼にこんな顔をさせてしまっては。
私は彼の頭に手を伸ばして、ゆっくりとなぞるように撫でた。
「ん、いいよ。
デート、行こう？」
「っほんと?!」
「うん」
彼は心底嬉しそうに私を抱きしめた。
人懐っこい犬のように、オオカミのように。
「もう、嘘つかせないッスから」
「……うん、ごめんなさい」
彼の男らしい呟きに意識せざるを得なかった。
太一くんはずるい。
「ふふ、“うそ”ッス。
Aちゃん、大好き」
私の耳元でボソリと言ったから、ぞわりと身が震えた。
まったく、そういう技をどこで覚えてきたというのだろう。このオオカミは。
いわく、彼の虚言癖は私のせいだ。
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はゆー(プロフ) - 有害君さん» リクエストありがとうございます(;;)!!夢主ちゃん攻めとても尊いです妄想が滾りました,,,ふふ(*´`)遅くなるとは思いますが必ず書かせて頂きますのでお待ちいただけると幸いです...！これからも『恋のサンプル』をよろしくお願いいたします(_ _*)!! (2019年9月4日 20時) (
レス) id: d068591bfd (このIDを非表示/違反報告)
有害君 - ←(その時の様子もお願いします！) お話全て夢主→攻め、キャラ→受けでお願いします！！(あれ、今更だけど全部似たような内容だ･･･まあいっか！)← (2019年9月1日 1時) (レス) id: ee0db65bd8 (このIDを非表示/違反報告)
有害君 - あざみ･･･皆で王様ゲームをしているとき【○番(夢主)は□番(あざみ)に壁ドンから何でもいいからイチャついて！】というお題で夢主があざみに何度もDキスなどをしてあざみがぶっ倒れてしばらくの間気まずくなる(？)話 ※続きます (2019年9月1日 1時) (レス) id: ee0db65bd8 (このIDを非表示/違反報告)
有害君 - 万里･･･ゲームで負けた方は勝った人の言うことを聞くというので、夢主が勝って万里を好き放題に色々(キスなど)して万里が照れまくる話 一成･･･夢主が一成に股ドンをしてそこから色々して一成が照れまくる話 ※続きます！ (2019年9月1日 1時) (レス) id: ee0db65bd8 (このIDを非表示/違反報告)
有害君 - リクエストで一気に3つ出しちゃいますけどいいですか！万里、一成、あざみのお話を少し長めでお願いします！！書く方はどちらでもかまいません！(内容は次のコメントで！) (2019年9月1日 0時) (レス) id: ee0db65bd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はゆろい
x他1人 | 作成日時：2019年5月1日 18時
