95話 誰かの名前 ページ46
「A、お前さっき誰の名前叫んでたんだ?」
仕事の性質上蜘蛛以外の知り合いが他にいるのは稀であり、いたとしてもごく数人である。
例を挙げるとすれば、暗殺一家として最も有名であると言っても過言ではないゾルディック家などであろう。
Aが叫んでいた名前はフィンクスにとって初耳だったのでフィンクスがこの名前に疑問を持つのは当たり前のことだった。
「え…名前…って?」
Aはあまりのパニックですでに先程自分が叫んでいた内容も覚えていないようでフィンクスにもう一度聞き返した。
「あー…確か…あなたの大切な妹の名前は?…??みたいな感じだったと思うぜ?」
「あなたの大切な妹の名前は?…。
…………………ハッ!!」
Aは口元を押さえた。
そしてみるみる顔が青ざめていく。
「おいA!大丈夫か?!」
フィンクスはこの時、自分の知らない名前のことよりAの青ざめ方の方が重大にと優先する順位が変わったために一瞬であなたの大切な妹の名前は?という単語を忘れてしまっていた。
以前、Aは妹がいるという存在自体は公表していたが名前といった情報を何一つ教えていなかったとある。しかし実は一回だけ団員の前であなたの大切な妹の名前は?の名前を口に出していた。
そう丁度この場面だ。
だがフィンクスはすっかり忘れていたため他の団員に知られることはなかったというオチだ。
「どこか痛むのか?」
フィンクスは青くなる理由を確かめようと聞いた。
「いや…大丈夫だ。どこも…痛くはねえよ」
「そうか…?」
Aは昔でいういつもの口調に戻って答えた。
過去を振り返ると、恐らくAの口の悪さが見える口調はこの時が最後だったと思われる。
こうしてこの日から徐々に今のAの雰囲気と振る舞いが出来上がっていったのだ。
「A、大丈夫なら俺は別に構わねえが、とりあえず寝てろ。俺は他の奴らにお前の目が覚めたって報告しにいくからよ」
フィンクスはAをもう一度ベッドの上で横にさせると、報告に行くため席を外した。
「あなたの大切な妹の名前は?…。ごめんね…絶対助けるから」
フィンクスが去って一人きりになった寂しい部屋で1人Aは妹の名前をつぶやいて何かわからないが決意を固めていた。
今後、この決意がAを突き動かしAの人生で最大の生きる理由になったとは誰も知らずに。
そしてこの日からAはお金に執着し始めた。
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ミカヅチ イヴ(プロフ) - あやはさん» ありがとうございます^^あやはさんも受験勉強頑張ってください!^^ (2019年8月16日 10時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
あやは(プロフ) - すごくいいところに来ててわくわくしてます笑受験勉強の息抜きにすごく助かってます!これからも頑張ってください! (2019年8月15日 22時) (レス) id: df4b2b1b15 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ゆっずーさん» 応援ありがとうございます^^これからも読んでもらえると嬉しいです! (2019年8月7日 19時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっずー(プロフ) - フェイタンもフィンクスも皆面白い笑笑更新お疲れ様でした!また頑張ってくださ〜い! (2019年8月6日 23時) (レス) id: 9ee8873612 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ひがんさん» なるべく毎日更新頑張りますね! (2019年8月2日 22時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミカヅチイヴ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年6月22日 12時