87話 目の場所 ページ38
「っ…!!」
Aは伸びてくるクロロの手に思わず目をつぶった。
クロロの手は決して避けられないスピードではなかった。それどころかただ普通に手を伸ばしてくる時よりもスピードは遅かった。
だがAは避けることができなかった。
逃げることができなかったと言った方が正しいのかもしれない。
クロロの周りから発せられている表現のできない雰囲気が避けることを拒ませた。
ただ目をつぶることしかできないAの眼球にクロロの手が触れた。
ああ今、目がなくなるのかもしれない。
目がなくなる恐怖よりも、団長というそのものが恐怖だったAは自然と呼吸が荒くなった。
「はあ…っ…はあ…」
他の奴らなら絶対にこんなことはないのに…
そう思うが体は言うことを聞かない。
しばらくクロロに眼球あたりを触れられて、
そろそろか、そろそろかとドキドキしていると目に痛みではなく、耳に声が入ってきた。
「A、目は眼球として単体でいる方が美しいものと、人の顔に埋め込まれているからこそ美しいものの2通りがある」
「え…」
Aは目を閉じたまま聞いた。
「緋の目は眼球単体としている方が美しかったからオレは目をえぐりとったにすぎん。
だがA、Aの目はAという人物に埋め込まれているからこそ美しい。
まるで生きているお宝のようだ。
生きているお宝はAの目以外に今まで一度も見たこがない。」
こうクロロは目についての自分の価値観を披露したあとゆっくりとAの顔から手を離した。
Aは手が離れたことを感じると恐る恐る目を開けた。
クロロの目についての価値は凡人には理解し難いかもしれない。
しかし、Aはそれを美しい考えだと思った。
人が干渉することで光るお宝があるのだと。
そして自分の目がとても美しいと言われたととれるこの内容に幸福感を覚えた。
「ねえクロロ、私の目…は綺麗なの?」
Aは直球に聞いた。
昔のAの直球さはAのいいところでもあった。
「ああ…かもな」
クロロはなぜか誤魔化したような言い回しを使って微笑んだ。
目が好きといったクロロの目はとてもとても深く
海の底と比べても劣らないような黒い影に包まれていた。
そしてAは気づく。
自分もクロロの目に惹かれていた部分があるのだと。
74人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - あやはさん» ありがとうございます^^あやはさんも受験勉強頑張ってください!^^ (2019年8月16日 10時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
あやは(プロフ) - すごくいいところに来ててわくわくしてます笑受験勉強の息抜きにすごく助かってます!これからも頑張ってください! (2019年8月15日 22時) (レス) id: df4b2b1b15 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ゆっずーさん» 応援ありがとうございます^^これからも読んでもらえると嬉しいです! (2019年8月7日 19時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっずー(プロフ) - フェイタンもフィンクスも皆面白い笑笑更新お疲れ様でした!また頑張ってくださ〜い! (2019年8月6日 23時) (レス) id: 9ee8873612 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ひがんさん» なるべく毎日更新頑張りますね! (2019年8月2日 22時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミカヅチイヴ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年6月22日 12時