残り僅かの余命1【H×H】【幻影旅団】

プロローグ ページ1

ヒンヤリと肌に突き刺すような冷たい空気が漂う夜に、神秘的に輝く満月の月明かりと、ロウソクのユラユラと揺れる炎だけを頼りに、幻影旅団の団長クロロ=ルシルフルは一人ポツンと読書をしていた。






彼の周りに人の気配はなく、ただ本のページをめくる際に起こる摩擦の音だけが小さく空気を震わせ、音をたてている。




クロロの手にある本は本と呼ぶにふさわしい厚みがある。しかし、文字は印刷ではなく、誰かの手書きであった。







ところどころがかすれ、読みにくい部分も多々ある。





しかし、クロロはそれを一行一行大切に読んでいた。




これは、ある女性の日記。



彼女のこと、クロロのこと、仲間のことetc…がこと細かく書かれたもので、日記であり本でもあるのだ。




見返せばいつでもあの時過ごした日々を思い出せる品…。


他人には全くの無価値かもしれないが、彼ら、幻影旅団にはなくしたらもう二度と手に入らない高価な物。





その重みを感じながらクロロは再び日焼けして黄ばんだ紙をペラリと一枚めくってあの数年を思い出した。

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