【ハイキュー!! 】能ある鷹は爪を隠す＿ 01【男主】 (ページ8)

今日:10 hit、昨日:5 hit、合計:227,544 hit

秘密の朝 ( 4 / 5 ) ページ8

「おい、お前ら！…ひとつ言っておく」

「「「？」」」

「…大地さんは普段は優しいけど、怒ると凄く恐い。凄くだ」

「「？知ってます」」

言い合いするふたりに唐突に口を開いた田中。思わずふたりと一緒に首を傾げていれば、大地先輩の名前が出る。そして言わんとしている事が分かれば、嗚呼と心の中で頷いた。

「この早朝練がバレたらヤバい。俺と、Aもヤバい。…別にビビってるとかじゃねえぞ、全然、全く全然」

( 説得力ねェな、オイ ) 顔を強ばらせながら言う田中に全くの説得力は無く、それは後輩ふたりにも伝わっている様子で口をポカンとさせたまま、なにも言わずにいる。

「けど、とにかくこの早朝練を知ってるのは俺達4人だけだから、くれぐれも」

「…あ、いや」

「おー！もうやってるのか！」

── 実はもうひとり、と言い掛けた所で聞こえた扉を開く音。大袈裟なくらいには肩をびくつかせた田中と後輩ふたり。俺だけは心当たりがあって、何て事無く振り返った。

「おース！」

「！？スガさん！？なんで…！」

「だってお前、昨日明らかにヘンだったじゃん。いつも遅刻ギリギリのくせに鍵の管理なんて申し出ちゃってさァ」

其処に居たのは予想通り、スガ先輩で。シューズを持ちながら、ひょっこりと顔を出したスガ先輩は動揺する田中に爽やかな笑みでそう口にした。( だから言ったろ、色々と下手くそだって )

「それにAに時間聞いたし。流石に5時は無理だったからこの時間に来たけどさ～。…まっ大丈夫大丈夫！大地には言わない！なーんか秘密特訓みたいでワクワクすんねー」

シューズを履きながら言ったスガ先輩に、あからさまにホッと息を吐いた3人。( 先輩なのに、こう言うお茶目な所が後輩達から慕われる理由の一つなんだろうなあ )

日向の相手をスガ先輩がして、影山と田中はトス合わせをする。スパイカーが打ちやすいようなふわりとしたトスを綺麗に上げる影山は流石の一言。

「お前、一々叫ばないとスパイク打てねえの？」

「気合いだろ！こう、ぐわあっと！」

田中の打ったスパイクは綺麗にコートへと落ちる。そのボールを拾って、影山の方へと返しながら口にすれば、うぐっと言葉に詰まる田中。そして直ぐにそう反論した。( まあ、黙って打たれるよりマシだろうし ) ( 実際、どうでも良いけど )

「おれもスパイク打ちたい！おれにもトス上げてくれよ！」

「………………………」

「一本だけ！試しに一本！な？」

「……………………嫌だ」

・

・