よん ページ5
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「月島くんは、毎朝なにしてるの？」
あいさつを交わしてから、長いコンパス、少ない歩数で自席に向かう月島くんにそれ以外で声をかけたのは、これが初めての事だった。
向こうも驚いたように口を小さく開いて、私の方を振り返る。
その顔から普段のクールな印象からは少し離れた幼さを感じて、知らず緊張のせいで強ばっていた頬が緩むのを感じる。
「えっと、急にごめんね。ずっと気になってて」
「…別に、平気だけど」
顔だけこちらを見ていた月島くんは、そう言いながら体ごと私を振り返った。
近くで見るとやっぱり大きくて、スタイルが良くて、固まってしまう。
月島くんはメガネを指で押し上げながら、手に持った数学の教科書を掲げる。
「部活のチームメイトの成績がお粗末だから、朝練前に勉強に付き合わされてるだけだよ」
ため息混じりに呟かれた声に呆れが滲みまくっていて、思わず軽く声に出して笑ってしまった。
月島くんは一瞬眉間にシワを寄せて、躊躇ったように間を開けてから口を開く。
「……Aさんは？」
「え？」
「だから、Aさんはなんでこんなに早くに来てるのって」
質問に答えたらすぐに居なくなるのだと思ってばかりいた私は、月島くんの方から声をかけられたことに驚いて、ちゃんと聞こえていたのに聞き返してしまった。
頭がちゃんとまとまらないまま、どうにか答えようと口を開く。
「あぁ……誰もいない教室って、なんか贅沢な時間じゃない？」
「…は？」
「朝は静かで過ごしやすいし、早起きする理由もできるし。結構おすすめだよ」
「………なにそれ」
今度こそ隠そうともせず眉間にシワを刻ませた月島くんは、小首を傾げたかと思うと、軽く吹き出した。
いたずらっ子のような顔に、私は視線を奪われる。
レンズの奥で軽く歪んだべっ甲色の瞳が綺麗で、
月島くんって全体的に色素が薄いんだなぁって馬鹿げたことを思った。
「Aさん、もっとまともな人かと思ってた」
「えっ…失礼だね………？」
言いながら教室を出ていこうとした月島くんの背中に、やっとの思いでそう返す。
廊下に足を踏み出した瞬間、軽く私を振り返ったその柔らかい色をした目に、月島くんが女子に人気な理由がわかった気がした。
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苗字設定付けるの忘れてました…！
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かかお(プロフ) - ななさん» なな様、あたたかいお言葉ありがとうございます！よろしくお願いいたします。 (2021年2月6日 9時) (
レス) id: ee76e1aae3 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 更新待ってました！頑張ってください！ (2021年2月5日 17時) (レス) id: 4f61ebe657 (このIDを非表示/違反報告)
かかお(プロフ) - りぷさん» りぷ様、お返事遅くなってしまってすみません。あたたかいお言葉ありがとうございます！とっても励みになります。マイペースに更新していくつもりでおりますので、気長に待っていただければと思います。 (2021年2月5日 17時) (レス) id: ee76e1aae3 (このIDを非表示/違反報告)
りぷ - すごく面白くて好きな作品の1つです。更新がんばってください！ (2020年8月2日 11時) (レス) id: 587a922c5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かかお | 作成日時：2020年5月26日 4時
