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おかしなことを言う。まあ、そうか。
「付き合っていたとすら言えるか怪しい関係だったもんね」
「っ、」
付き合っていたんだろうか。いたんだろうけれど。全部嘘だということに変わりはない。宮くんは彼らにすら嘘を言った。
「付き合ってること内緒にして欲しいなあって言ったのにな」
「……覚えとるわ。覚えてた上であいつらに言ってやった」
「酷いなあ」
絶対に彼らからしてみたら私は、“嘘の告白を本気にとった重い女”だろう。無理に宮くんを付き合わせている、そんな女だろう。まあいいか。宮くんの仕返しだと思えば。
「優しいね宮くん。でももういいよ。要らないの」
「なに、が、」
「私があんまりにも喜んでたからネタばらし出来なかったんでしょ。知ってる。その後言い出せなくなって、ならほんの少しの間だけでもって夢見せてくれたんでしょ？ ありがとうね、楽しかったよ」
楽しかった。本当のことだ。楽しい間は下り坂のさなかに居ることも忘れられた。落ちていく一方だということを誤魔化せた。
「嫌な女でごめんね。でもね、流せなかったの。あの日の夜の思い付きの企み、始めちゃったら止められなかったや」
「それは俺が、」
「でも疲れちゃった」
ああダメだ。こういうのはもっと嘘が得意な人がするべきだ。例えば、宮くんのような。
「疲れちゃった。私本当は嘘つくの苦手。だからさ、いっぱいボロも出てたでしょ。いい子のふりも続けられなかったし。何より、」
好き、嫌い、好き、嫌い。
振り子の針が振れる。どちらにも定まらずに振れ続ける。仕方ないことだ。土台がしっかりしてないからだ。私の心が不安定だから、定まりようがない。
「……初めから知ってたん？」
「ううん。告白を受けた時の私は馬鹿正直に浮かれてたよ」
本当馬鹿みたいに。でも、知らないということは幸せとはよく言ったものだ。私はきっとあの時が一等幸せだったのだから。馬鹿な私。シンデレラ・ストーリーなんて私なんかに来やしない。
「それだってね、人気者の宮くんだったから浮かれたんだよ。自業自得だね。それでも許せなかったんだよね」
「…………なら」
ひび割れたような声に思わず顔を上げた。怒らせたと思ったから。けれど宮くんの顔に浮かんでいたのは怒りというよりは、それは。
「Aちゃんが俺のこと好き言うたのも嘘なん？」
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えま(プロフ) - せなけいこさん» そこまで言っていただけてただただ感謝です！！ ありがとうございます！！ (2020年10月3日 15時) (
レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
せなけいこ - 星の数が足りません！めっちゃ好きです！！ (2020年10月3日 14時) (レス) id: ef980343e4 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - おかか。ですか？さん» ありがとうございます！！ 作品を楽しんで頂けたようで幸いです！！ (2020年9月7日 18時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか？ - 私の語彙力がないせいで言い表せないんですけど、めっちゃ面白かったです！最高でした!! (2020年9月7日 17時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - せりなさん» 天才だなんて！！ 身に余る言葉です、ありがとうございます！！ (2020年5月13日 5時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
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