夜 ページ13
その言葉に、私は飛び起きる。全身汗びっしょりで、とても眠れた気がしない。時計を見れば、今が深夜の2時だということが分かった。そんなに寝た気がしない…。
バクバクと鳴る心臓を抑え、私はもう一度シャワーを浴びて汗を流し、ジャージやシーツや掛け布団を洗濯機で回した。
インスタントのブラックコーヒーを熱々のまま口に入れ、食器を洗う。それが終わると、引き出しから久しぶりにカッターナイフを出し、シンクの上に左腕を持ってきた。
「…はあ、はあ」
自分の荒い息を聞きながら、腕にあてた刃をスライドさせる。腕に引かれた赤い糸が、どんどん広がり、ついにシンクの上にこぼれ落ちた。
「まだ」
あの夢を見ると、こうやって何かを壊さないと、何かを傷つけないと、痛みを感じないと落ち着かない。まだ自傷行為を知らなかった頃は、私は部屋中のものを壊しまくった。それでも収まらない恐怖とストレスを、睡眠薬を大量に飲んで誤魔化した。
そういう行為をする度に、雄英の教師たちに怒られる。でも、自傷行為は怒られない。呆れているのか、最悪修善寺さんに頼もうという魂胆か…。
私がいなければ、周りはもっと平和で楽しい人生を送っていただろうか。私がいなければ、誰も不快な思いはしないだろうか。
「……やめよう」
傷口を水で流し、カッターも洗う。タオルで腕の水気を取り、消毒と包帯で傷口の処置をした。カッターは錆びないように水気を取り、また引き出しにしまう。
「明日は、ヒーロー基礎学か」
サボろっかな…なんて。
「空、起きてるか」
突然聞こえた声に、思わず肩を揺らす。
「あ…相澤さん。どう、しました？」
少し声が上擦ったが、相澤さんには聞こえなかったようだ。
「明日のヒーロー基礎学、休みたいなら休んでもいいぞ」
気遣ってくれてるのか…心が読まれたと思って少し驚く。
「いえ、行きます」
疲れたら眠る、この体はまだ普通の人間と似たような機能を持つ。だから今日も、眠ってしまった。でも、帰ってきてからすぐに睡眠薬を飲めば問題ない…はず。
「そうか。ま、気をつけろよ」
「はい」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
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ぁ - 珍しく台本書きでも、改行で誤魔化す事もなくしっかりした文章を読めてかなり満足しました。CSSもシンプルで良いですね、影ながら応援してます。 (2022年10月20日 17時) (
レス) @page7 id: fefad6577a (このIDを非表示/違反報告)
闇雲空(プロフ) - みゆかさん» わわ、みゆか様も受験生なんですね！！共に頑張りましょう！！ (2022年10月3日 15時) (レス) id: cfd39d529f (このIDを非表示/違反報告)
闇雲空(プロフ) - アカリさん» ドンピシャ作品を作れて嬉しいです！！お気遣い、ありがとうございます。更新頑張ります！！ (2022年10月3日 15時) (レス) id: cfd39d529f (このIDを非表示/違反報告)
みゆか(プロフ) - 夢主ちゃんの性格、主様の書き方‥‥めっちゃ好きです() 私も受験生なので、一緒に頑張りましょうね！！ (2022年10月3日 15時) (レス) @page17 id: cc51e57412 (このIDを非表示/違反報告)
アカリ(プロフ) - シリアス且つ原作沿いもので、ここまで自分ドンピシャな作品に出会えるなんて思いませんでした！主様のペースで、更新頑張ってください！ (2022年10月3日 15時) (レス) @page17 id: e58062aad0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：闇雲空 | 作成日時：2022年9月29日 18時
