次に進め ページ15
数年後。
轟家は一段と慌ただしかった。
この家の長女が旅立つのだ。
18歳の少女は背が随分と伸びて、今では父の耳下く
らいまでとなった。
赤みがかった白く長い髪は１つに纏められ、陽の光
を浴びて輝く。
そしてなにより、顔つきが変わった。
父に似たその瞳はキリッと涼しく、優しくなった。
その顔つきからは自信と正義感に溢れ、誰が見ても
ヒーローなのだとわかる。
「これで全部？お姉ちゃん。」
「ああ。ありがとう冬美。受験で大変だろうに、悪
かったな。」
「ううん。お姉ちゃん、元気でね。」
「冬美もな。お母さんのこと、頼む。」
「まかせて！」
この長女こそ、轟家の第一子、轟氷雪だ。
先月雄英高校を首席で卒業し父であるエンデヴァー
ヒーロー事務所で働くことが決まっている。
「姉ちゃん、今までありがとう。頑張ってね。」
「燈矢もな。何かあればすぐに連絡しろよ？」
くしゃ、と弟の頭を撫でる。
燈矢は誰よりも氷雪が大好きだった。
それに気づいていた氷雪も、燈矢になにかと気にか
けていた。
我が家の長男。
轟家の名を背負っていくはずだった三男坊は無残に
も、父親に見捨てられた。
氷雪はそれもあったからか、燈矢のことを一番かわ
いがっていたのだ。
「燈矢兄さんずるい！！俺も！！！」
「私も！！！」
「中学生が何言ってんだよ。」
「それ言ったら燈矢だって中学生だよ！！」
「あ、そうだったな。」
自分からしたらみんな可愛い妹弟達なのだ。
仕方がない。
「氷雪、これからは俺の下で働いてもらうからな。
何かあればすぐに言え。」
「ありがとう、父さん。」
腕組みをして厳つい面立ちをしているが、娘の旅立
ちに立ち会っているところを見ると、やはり娘が
可愛くて仕方がないようだ。
「さて、そろそろ行くか。」
「え？もう言っちゃうの？」
「もうって……私たち、ここに1時間半居続けてる
からな？そろそろ行かないと。」
「う"う"…お"姉ぢゃん"元気でね"」
「夏、お前はまずその鼻水をどうにかしろ。すごい
顔だぞ。」
と、玄関から末の弟が顔を出していた。
「焦凍。」
ビクッと肩を揺らした焦凍。
ゆっくりと顔を合わせ、目線を合わせる。
「5年後。待ってるからな。」
「！うん！！」
こうして、轟家の長女は旅立っていった。
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水蓮月夜(プロフ) - 座布団さん» いえいえ！ご意見いただけるだけありがたいです！ありがとうございます。ミリオはいい奴だ…！ (2020年4月7日 18時) (
レス) id: 46a31dc65f (このIDを非表示/違反報告)
座布団 - オチ決まってたんですね(￣▽￣;)すいません！ (2020年4月6日 16時) (レス) id: 5f3a5b3cfe (このIDを非表示/違反報告)
座布団 - 凄くこの作品大好きです！！オチ希望は通形ミリオです！ (2020年4月6日 16時) (レス) id: 5f3a5b3cfe (このIDを非表示/違反報告)
水蓮月夜(プロフ) - ミナさん» ご意見ありがとうございます！先日のアニメでホークス出てきましたよね。カッコよかった〜！年齢も近いし、良いかもしれませんねd(^_^o) (2020年4月2日 9時) (レス) id: 46a31dc65f (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - ホークスがいいです！ (2020年4月2日 9時) (レス) id: 1305b21a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水蓮月夜 | 作成日時：2019年4月26日 18時
