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その言い方は大変私に効く。
私は御家に一番近い存在でありながら一番遠くに位置している。やっている事がアレなだけに、遠ざけた父と母を英断だとは思う。だがやはり真っ当に存在する名家の雲雀との家族との関わり方の違いを痛感する。
なんでもとは行かずとも、普通は重大な関わりのあるものなら話すのが筋であろう。否、筋、なんて小難しい言い方では無く一般的に言う家族の在り方とはそうなのだ。
数秒の沈黙が痛い。
両親とは許可が無いと喋れない。身の回りの世話や色々なことに不自由することはないが、やはり年頃になってもどうにもできない歪な関係はコンプレックスと成り果てている。
｢箱入り娘も考え物だね｣
手元のマグカップを私に寄越して頬杖をついた彼は窓の外を見ている。多くの生徒が下校している中、一際目立つ集団を目で追っているようだ。
私はと言えば寄せられたマグカップをどうするか思案していたが、渡されたのに口もつけないのも失礼かと思い一口含む。
う、苦い。
露骨に眉を顰めた私に、君ってコーヒーダメなんだっけ、とぽつりこぼす彼が私の手からマグカップを受け取る。必死で飲み込む私とは対照的に涼しい顔をしてそれを飲む彼が憎たらしく見えてきた。
｢父も母も、何も教えてくれませんよ｣
｢それを僕が教えるべきか迷ってる｣
｢聴くべきですか、私は｣
｢さあ……どうなんだろうね……｣
曖昧に濁した彼が数拍置き、私に指輪をひとつ見せる。
やたらとゴツい印象を受けるそれが彼の指に嵌っているのはやや意外である。細長い骨張った手が動きその指輪を机に置いた。
シルバーアクセサリー、と言えばまあそこそこ値段のするものだが、重厚さと年季が明らかに違う。これは、と私が説明を求める前に目が合い黙る。基本喋り始める時にこの人は私と目を合わす。
｢ボンゴレの守護者が持つもの、らしいけど、僕は正直詳しいことに興味がなくてね｣
｢え、なんでそれを恭弥さんが持ってるんですか｣
｢さあ？なんでだろうね。成り行き｣
成り行きでボンゴレに関係するのかこの人は。
｢守護者って｣
｢簡単に言えば幹部｣
｢重鎮じゃないですか｣
｢だから言おうか迷った｣
面倒臭いを顔に貼り付けたらできるような表情をしている。
しかしそれを私に話していいんだろうか。無防備にも机に置いた指輪は私が取って持ち去ってしまえる大きさと距離だ。
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さとう(プロフ) - コメント失礼します。とっても面白くて何回も読み返してしまいます！夢主ちゃんと雲雀さんの歪な関係がとてもグッときます。影ながらいつも応援しております。更新無理せず頑張ってください！ (2019年6月18日 23時) (
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作者名：銀竹 | 作成日時：2019年5月28日 20時
