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「ねえテンヒョン、あの時ヒョンがボクの電話に出てたら、今ヌナの隣にいたのはマクヒョンじゃなかったかもしれないね」
ちょっと言い方が意地悪く聞こえるかもしれないけど、まあ今に始まった事でもないか。
「違う？」と追い打ちをかけてみるけど、テンヒョンはにっこりと口角を上げて笑うだけだ。
雲みたいだな。
掴みどころの無さが、特にそう思う。
「あーあ、忘れてた」
「なにを？」
「下の子たちがAも含めて皆、バカだって事をね」
するりと僕から離れたテンヒョンは、冷やかすようにボクへ笑いかけて違うのだと首を振る。
「マークがAを好きなのはともかく、Aがマークを好きになるなんて、ボク達は昔から解ってたんだよ」
「……ヒョン達が？」
「そう。だってボクとジャニは『いつ我慢の限界が来るか』なんて賭けてたくらいだし。あの時は後味悪く終わっちゃったけど」
「ええ……」
「そう言えばどっちに賭けてたんだっけ？あれってまだ有効だと思う？」
「知らないよ。ジャニヒョンに聞いてみたら？」
「そうしよう」
本当に気まぐれだな、この人。
テンヒョンはポケットから端末を取り出して、すぐさまジャニヒョンへ電話を掛け始めた。
こっちが気にしてたなんて、ヒョンの言う通りまるで馬鹿みたいだ。
そんなボクの呆れ顔に気付いたのか、テンヒョンが「ヤンヤン」とボクの名前を呼び、そして言葉を続けた。
「Aなんて所詮、ボクの可愛い妹の一人でしかないんだよ。それってヤンヤン、お前と同じくらい特別で大事だってこと」
からかうように聞こえたその口調が、まるで子供を諭しているようにも聞こえて気が重い。
テンヒョンがボクに微笑みかけた瞬間ジャニヒョンが電話に出たんだろう。
弾むような……というか悪ガキに戻ったような顔をして「マークとAの新居に家具を買っていこう」と提案している。
テンヒョンはボクもAヌナも同じくらい大事だと言うけれど、じゃあこの二週間、メンバーの間で散々話題に揚がった“運命の人”がボクに現れたとして、その時この人は、こんなにも幸せそうな顔をして笑ってくれるんだろうか。
それは少し、いやだいぶ嬉しいだろうなと思いながら、二人の通話に「ボクも行く！」と噛みついておいた。
(おまけ・功労者と祝福・完)
終わり
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さっちゃん(プロフ) - 作品読ませていただきました。途中胸が苦しくなるほど、とても良い作品でハッピーエンドで終わり良かったです。またトキメキと良い意味での胸の苦しさを求めて何度も読もうと思います。素敵な作品をありがとうございます。 (9月26日 22時) (
レス) @page49 id: 585b81384e (このIDを非表示/違反報告)
ちるぬな(プロフ) - 初めてこの作品を読ませていただきました。言葉遣いからストーリー構成まで、ほんとうに好きです。素敵なお話ありがとうございます。これからまた何十回と読ませて頂きます^_^ (9月20日 21時) (レス) @page49 id: 7c0a70e250 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» 私こそすみません…！作品の方また楽しんでいただければ幸いです！ (2021年8月31日 11時) (レス) id: 9dd39ae13b (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - せのさん» そうだったんですね！失礼いたしました...！ (2021年8月30日 21時) (レス) id: ef764b671d (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» こちらこそ読んでくれてありがとうございます〜〜！！Twitterはしてないので教えられず……！ (2021年8月30日 16時) (レス) id: 01bd2f8507 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2021年8月2日 0時
