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そう呟いてから、ふと、あのメールがAにちゃんと届いていたのかが気になった。
何度も何度も送ったし、何を書いたのかも覚えてないくらいメールを送ったけど、いざこうやってAを目の前にするとなんとも言えない恥ずかしさが襲いかかって来る。
Aにメールを見たのかどうかを聞こうかと思ったけどやめておいた。
あのメールが本当に届いていたとすれば、Aが話題に出さないわけがない。それってセーフだ。
「色々な所に短期で住んでたけど、悠太くんは何度か私のところまで旅行しに来てたよ」
「知ってる。でもオレ達はあんまり、そういうの探らない方がいいと思ってて」
「そう、優しいね」
「それにヒョン、旅行の回数が多くて……錯乱させるためにダミーの日程表も作ってたり、偽のチケットをオレ達に見せてきたり……」
「そうなの？」
「ユタヒョンって、結構誰にも追われないようにしてたよ。Aはそういう事聞いてなかったの？」
「全然。悠太くんってやっぱり偉いね、そんなに頑張ってたんだ」
Aはヒョンの事を面白そうに褒めているけど、果たして本当にそう思っているんだろうか。
こうも気軽に話せていることを考えると、ますますAが全てを捨てていったことが不思議でならない。
そんな事を考えていたせいか、言葉の端が少し拗ねるような口調になってしまう。
「どうしたって、ずるいと思う」
「なにが？」
「Aはオレ達を見ようと思えば簡単に出来ただろ？でも、オレはAの今までを何も知らないんだよ」
「私は皆の事、見ようとも思わなかったけど」
「え？」
「表舞台にいる今の皆を見るのが怖くてね、ずっと見ないようにしてたから」
ほんの少し目を伏せて、どうしてかAはひどく穏やかな顔をして微笑んだ。
その表情の意味をオレはどう捉えればいいのか解らない。
何も言えずにいた自分にAがそれを悟ったのか、今度は少しおどけたように答える。
「偶然広告とか見掛けても、こう下を向いて、皆の視線から逃げるように」
「はあ、A……」
「マーク、もうそろそろここを出ようか」
「次はどこに行く？」
「ううん、これで終わり」
「、でも……オレはまだ一緒にいたい、Aと」
向こう側に見える川の中に夕陽が沈んでいくのが見えた。
昨日Aの帽子を捕まえたあの場所が見えて、それが本当に奇跡のように感じて、手放してしまうのがどうしようもなく怖い。
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さっちゃん(プロフ) - 作品読ませていただきました。途中胸が苦しくなるほど、とても良い作品でハッピーエンドで終わり良かったです。またトキメキと良い意味での胸の苦しさを求めて何度も読もうと思います。素敵な作品をありがとうございます。 (9月26日 22時) (
レス) @page49 id: 585b81384e (このIDを非表示/違反報告)
ちるぬな(プロフ) - 初めてこの作品を読ませていただきました。言葉遣いからストーリー構成まで、ほんとうに好きです。素敵なお話ありがとうございます。これからまた何十回と読ませて頂きます^_^ (9月20日 21時) (レス) @page49 id: 7c0a70e250 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» 私こそすみません…！作品の方また楽しんでいただければ幸いです！ (2021年8月31日 11時) (レス) id: 9dd39ae13b (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - せのさん» そうだったんですね！失礼いたしました...！ (2021年8月30日 21時) (レス) id: ef764b671d (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» こちらこそ読んでくれてありがとうございます〜〜！！Twitterはしてないので教えられず……！ (2021年8月30日 16時) (レス) id: 01bd2f8507 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2021年8月2日 0時
