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「どれを言ってるのかわかんないけど。たくさんありすぎて」
『心当たりなんて山ほどあるわな』
「そう、特に二人。何も言ってあげられなかった人と、全部を押し付けてきちゃった子」
『あーあ』
「こればっかりは謝っても謝り切れないね」
電話の向こう側で苦く笑う悠太くんは今、どんな髪の毛の色をしているんだろう。
どんなものを食べて、何を見て生きているんだろう。
そんな事を考えながら悠太くんが話し始めるのを静かに待っていると、メールボックスに一件、新着の合図が灯った。
タイトルを指で触れながら眺める。
『次の国、まだ決まってないんやったらカナダにしとけば？』
「……び、びっくりした。なんでわざわざそこなの？」
『だってオレ、仕事以外で行った事ないもん。観光したいし、お前がおったら一石二鳥やん』
「何がどうなって一石二鳥？」
『見てみたくないん？マクが生まれ育った場所』
「いや、考えたことは無かったけど……」
『どうせお前はいつか行くやろ？それやったら今行っても別に構わんのかと』
「か、構うよ」
『まあそれは追々、会ってから説得したらええよな』
悠太くんと話している時に限ってメールを送ってくるのは、運が良いのか、それとも悪いのか。
このアドレスが使えるのだと未だに信じている人は、世界でたった一人しかいないんじゃないかと思う。
いや、もしかしたら、マークだって信じていないのかもしれない。
初めは私に問いかけてくる内容も多かったけど、今では報告ばかりで日記のようになってしまっている。
『お前、いっそマクに出会わんかったらよかったのにな』
「……悠太くん今日は直球だね。いつもはもう少し遠回しに行ってくるのに。お酒飲んでる？」
『ううん。もうええかと思って、電話やと尚更気楽で』
「そうなの？」
『そらもう』
「うーん……」
『何年たってもこっちに戻って来れんのも、オレが話すまでに何も聞こうとしないのも、ずっと苦しんどるように思えてなぁ』
「大丈夫。人間って苦しくても息は出来る生き物だよ」
『だからなんやねん。お前がマクのこと好きにならんかったらって、オレでさえ今でもそう……はあ、ほんま何でお前マクのこと……』
「あはは、本当にね」
『オレはお前よりマクの方が全然可愛いけど、一瞬マクのこと恨みそうになったこともあるし」
「そ、それは初耳」
『まあ嘘なんやけど』
「どっちなの……」
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さっちゃん(プロフ) - 作品読ませていただきました。途中胸が苦しくなるほど、とても良い作品でハッピーエンドで終わり良かったです。またトキメキと良い意味での胸の苦しさを求めて何度も読もうと思います。素敵な作品をありがとうございます。 (9月26日 22時) (
レス) @page49 id: 585b81384e (このIDを非表示/違反報告)
ちるぬな(プロフ) - 初めてこの作品を読ませていただきました。言葉遣いからストーリー構成まで、ほんとうに好きです。素敵なお話ありがとうございます。これからまた何十回と読ませて頂きます^_^ (9月20日 21時) (レス) @page49 id: 7c0a70e250 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» 私こそすみません…！作品の方また楽しんでいただければ幸いです！ (2021年8月31日 11時) (レス) id: 9dd39ae13b (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - せのさん» そうだったんですね！失礼いたしました...！ (2021年8月30日 21時) (レス) id: ef764b671d (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» こちらこそ読んでくれてありがとうございます〜〜！！Twitterはしてないので教えられず……！ (2021年8月30日 16時) (レス) id: 01bd2f8507 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2021年8月2日 0時
