限界なんだよ！！ 4 ページ19
ユラッと動いた蘭が一直線に向かったのは、この緊張の中唯一優雅に紅茶を飲むAだ。
カチャとカップを置いたAは両手を蘭に伸ばした。
その腕を自分の首に巻きつけるようにAの胸元へ一度沈んだ蘭は、そのままAを抱え上げてソファーに座った自身の膝の上に向かい合うように下ろした。
一言も話さないままAの額、右目、左目、右耳、左耳と唇を落とした蘭は、最後に唇を重ねて少し光を取り戻した目で、Aの瞳を見つめる。
「なぁ、姉ちゃん」
『んー？』
ようやく声を出した蘭に、これ以上ないほど優しい声で返事をするA。
「お願いがあるんだけど」
『なぁに？』
「俺の気が済むまで姉ちゃんを好きにしていい？」
『いいよ』
聞く人によっては、灰谷蘭の気が済むまで好きにされるなど死刑宣告もいいところなのだが、悩むそぶりも見せず二つ返事で答えたAに、幹部たちは目を見開いた。
だが、微笑みを崩さないまま言ったAの返事に、蘭はもう一度弧を描く唇にキスをしてAを抱えたまま立ち上がる。
「竜胆帰んぞ」
「ん」
そのまま部屋を出て帰宅した姉弟に、蘭はともかく竜胆とAにはまだ仕事が残っていると思い出したのは少し経ってからだった。
竜胆の運転で家に着いた途端、風呂。と短く告げた言葉に竜胆はお湯を溜めに風呂場へ向かう。
蘭は抱えたままソファーに座り、落ちないようにAの腕を自身の首に巻き付けてジャケットを脱ぎネクタイを緩めた。
Aは何も言わず始終ニコニコと、愛する弟のする事を見守っている。
「姉ちゃん一緒に風呂入ろう
頭洗ってやるからな〜」
『ありがとう
どのシャンプー使う？』
「俺の」
気分屋な蘭とAのために数多く揃えたシャンプーに、どの匂いにするのかと聞けば、その中でも蘭しか使わないシャンプーを使うと言う。
自分の匂いにさせようというのだ。
Aはそれを理解して蘭の頬にキスを落とした。
「お湯溜まったよ」
ひょこっと顔を出した竜胆に、ん。とだけ返してAを抱えて歩く蘭を竜胆はじっと見つめる。
「お前も来い」
その言葉を待っていたかのように、少し嬉しそうな顔をした竜胆は3人分の着替えを持って脱衣場へ向かった。
Aの髪から足先まで自分の好きなシャンプーとボディーソープで洗った蘭は、今現在Aを後ろから抱きしめる形で湯船に浸かっている。
うなじに何度もキスを落として。
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轟琴葉(プロフ) - 凄く面白くて小説の書き方や表現がとっても上手くて二、三度読み返してしまいました！これからも活動頑張ってください！ (3月24日 14時) (
レス) id: 527b239b5f (このIDを非表示/違反報告)
喜成 - 読み終わってしまったが。次何を読んだらいい?これ以上の作品ありゅ? (2023年4月21日 20時) (レス) @page41 id: 330e82b250 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - めいだぅ！さん» コメントありがとうございます！！嬉しい限りです😭 めいだぅ様にとって記憶に残る作品になれた事を誇りに思います✨ ありがとうございました🥰 ぜひ今後ともよろしくお願いいたします☺️ (2023年2月8日 16時) (レス) id: 5cb8755336 (このIDを非表示/違反報告)
めいだぅ！(プロフ) - 完結おめでとうございますうぅ😭ずっとずっと1番大好きな作品で追いかけさせて貰ってました😭この小説で号泣したり、笑ったり、ときめいたり、ほんとに素晴らしすぎる作品でした😭主さんの今後のご活躍楽しみにしてます(^ ̥_ ̫ _ ̥^) (2023年2月7日 23時) (レス) @page41 id: c10d69082a (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - YUMiさん» コメントありがとうございます！！ そう言ってもらえると嬉しいです😭😭 沼にハマってください仲間です😂 こちらこそありがとうございます♡ ぜひまたよろしくお願いします✨✨ (2023年2月2日 20時) (レス) id: 5cb8755336 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉兎
| 作成日時：2022年9月28日 20時
