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ep370 ページ23

はっとして頭を上げれば、ばちりと交差した視線。
全身が震えて… 頭が熱くなった。



こっちの気も知らないで……

そう、知らない……ふりをして呼ぶんだアイツは。そういう奴なんだ……私を連れ戻しに来たあの日からずっと。
そうしなきゃ私がその場所に帰れないのを知っているから。



……はぁ……困った話だ。

あんな風に呼ばれたら私は刀を抜いて踏み出すしかなくなって仕舞うのだから。


助走をつけて崖から飛び降り、阻む敵を斬り伏せながら晋助の背中を追いかけた。



奈落に狙われた新八君を庇って敵を貫いた晋助。
その手の刀には見慣れた洞爺湖の文字があった。



「……新八君、立てるね?」

「はい!」


彼の腕を引っ張り上げてもう一度前を見据えれば、行手を阻む数多の敵。


「てめぇらより先に挨拶しなきゃいけねぇ奴がいる。
そこをどけェェェ!!!」



晋助の叫びと共に走り出したその時——




ドォォォオン——!!



前方で大きな火柱が起きる。


「そうか、ならば露払いは俺が引き受けよう。握手でも拳でも存分に交わせェ!!」


その犯人はヅラだ。


「ヅラァ!焚きつけるのはよさんか!いつも悪ガキどもの喧嘩止めるワシの身にもなれェェェ!!」


仕留めたのであろう敵戦艦を地上にぶち撒けながら、珍しくお怒りの辰馬も叫ぶ。



……いや?待てよ。


「嘘つけ辰馬ぁぁああ!!火に油注ぐばっかで喧嘩止めたことなんてないじゃん!!」


これに関しては結構本気で異議あり。



「ならばいっそ俺達も参加すればいい!」

「そりゃ名案ぜよ!」

「ねぇ話聞いてるぅぅううう!?」



とは言うものの、先を行く晋助が愉快げにしているのを見て満足してしまう自分もいて我ながら呆れる。


その時、石垣のようだった敵が空高くに弾き飛ばされて銀時が現れた。



出会い頭、互いの背後の敵を仕留め合う晋助と銀時。
あまりに息の合ったその様子に懐かしく立ち尽くしていれば


「銀時、人間って奴ぁそう簡単に変わらねぇもんらしいな。一遍死んでも10年経ってもどいつもこいつも相も変わらずバカやってやがらぁ」


「そうでもねぇさ……10年前なら斬ってた」


銀時は不敵に微笑む。



「なるほど、楽しみは後に取っておくことを覚えたワケか……。立派な大人になったもんだ」


「ほざきやがれ」





気付けば私の眼の前には、かつての仲間4人が互いに背を預け合う————


そんな景色があった。



 

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ギラッフェ(プロフ) - 陽-hisa-さん» いつも楽しみにしてくださってありがとうございます。何よりもの励みになっています!今後とも楽しんでいただけると嬉しいです(^^) (9月2日 0時) (レス) id: 7a3023c2c7 (このIDを非表示/違反報告)
陽-hisa- - お久しぶりです。攘夷とこんなに上手く絡ませている作品、やはり私的にはこの作品が一番です。一番好きです。これからも楽しみにしています。応援しています。 (8月31日 19時) (レス) id: cd440b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - るぅさん» いつもありがとうございます!ベタ褒めしていただいて嬉しい限りです笑 今後ともよろしくお願いします! (8月22日 9時) (レス) id: 1bbdb8d99e (このIDを非表示/違反報告)
るぅ - いつも読ませて頂いてます!大体どの作品も恋愛系の作品が多いのですが、占ツクで面白い作品に出会えると思ってなかったです笑コメント見させて頂きましたが、オチなしの結末を考えているとの事で個人的にホッとしました笑これからも応援してます! (8月21日 21時) (レス) @page48 id: 0469468a88 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひーさん» コメントありがとうございます!読み返してくださるのとても嬉しいです!今後ともよろしくお願いします! (8月10日 9時) (レス) id: da4440489d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2022年1月26日 0時

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