ep367 ページ20
鬼兵隊の面々が感極まる傍ら、
一方でそれを遠目に見ていた阿伏兎はふと気づく。
鬼兵隊の肩に励ますように置かれた手が小さく震えていることを。見れば、その笑みの中には少しの不安が入り混じっていた。
阿伏兎は仕方ないとでも言うように溜息をつく。
「……なぁ参謀。アンタそいつらと一緒に行け」
それを聞いた彼女は不本意そうな表情を隠さなかった。
「もしかしなくても私、変に気遣われてます?」
「そうカリカリすんな。こちとら夜兎の精鋭部隊だぜ?」
余裕綽々な阿伏兎の笑みに、自分が高杉の心配をしているのがあまりに露見していたのだろうと分かって居心地が悪くなる。
「しかもこれからここで始まんのは頭も知恵もいらねぇただの潰し合いだ。嬢ちゃんの高尚な頭脳はそいつらの逃走経路に有効活用した方がいいと思うがなぁ?」
あっという間に外堀は固められた。
「分かりました、そうします」
それを聞いて満足げな顔をする阿伏兎に一瞬眉を顰めてから
「……ありがとうございます」
そう言ったA。
返ってきたのは「可愛げないなぁ」と揶揄うような台詞だった。
その瞬間、崖に突き刺さる敵艦隊2機目。
突き刺した当人の星海坊主は未だ十分余力ありの様子。
衝撃で足元が揺れる中、背後から件の地上部隊が襲いかかってくる。
それを一斉に迎え撃つ第七師団。
鬼兵隊とAはその横をすり抜け、崖上へと続く坂を駆け登った。
「今のうちに!!」
「急げ!!」
だが背後では、第七師団の猛攻をすり抜けた敵数名が躍起になって追いかけて来ている。
怪我人を背負っている自分達が追いつかれるのは時間の問題——。
そう考えたAはしばらく行った先で刀を抜いて立ち止まった。
「君達は先に行って。私はあれ片付けてから行く」
助太刀だと言って数名残った鬼兵隊と共に敵を斬り捨てながら坂を登っていたその時————
ドゴォォォオン——!!
頭上で爆ぜた砲撃。
その爆風の中には、宙に投げ出された高杉がいた。
「総督ーーーーーー!!」
誰かが叫ぶその声がAには酷く遠く聞こえた。
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ギラッフェ(プロフ) - 陽-hisa-さん» いつも楽しみにしてくださってありがとうございます。何よりもの励みになっています!今後とも楽しんでいただけると嬉しいです(^^) (9月2日 0時) (レス) id: 7a3023c2c7 (このIDを非表示/違反報告)
陽-hisa- - お久しぶりです。攘夷とこんなに上手く絡ませている作品、やはり私的にはこの作品が一番です。一番好きです。これからも楽しみにしています。応援しています。 (8月31日 19時) (レス) id: cd440b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - るぅさん» いつもありがとうございます!ベタ褒めしていただいて嬉しい限りです笑 今後ともよろしくお願いします! (8月22日 9時) (レス) id: 1bbdb8d99e (このIDを非表示/違反報告)
るぅ - いつも読ませて頂いてます!大体どの作品も恋愛系の作品が多いのですが、占ツクで面白い作品に出会えると思ってなかったです笑コメント見させて頂きましたが、オチなしの結末を考えているとの事で個人的にホッとしました笑これからも応援してます! (8月21日 21時) (レス) @page48 id: 0469468a88 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひーさん» コメントありがとうございます!読み返してくださるのとても嬉しいです!今後ともよろしくお願いします! (8月10日 9時) (レス) id: da4440489d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2022年1月26日 0時