ep359 ページ12
「で、ウチの団長とはどうだ？胃がキリキリすんだろ」
副団長からそう問いかけられたのは目標のアジトまであと数メートルのところだった。
なんてことを訊くんだと思わず視線で星海坊主を探した私に
「心配ねぇよ、さすがの宇宙最強もここまでは聞こえねぇだろうさ」
と笑う。
たしかに。それにそもそも聞こえたところで困ることなんて何も無かった。
「いつ気づきました？」
「嬢ちゃんがサムライ達と待ち合わせしてるって言った時だよ。先に1人で来たってことは連れがいたんじゃねぇかなと」
「さすがですね。見事団長さんに恐喝紛いの物言いでタクシー扱いされましたよ」
長年、あの問題児の右腕をやっているだけあるな。
かくいう私は数日でもう御免願いたくなってる。
「ま、参謀と副団長ってことで仲良くやろうぜ」
何故かやけに馴れ馴れしく肩に手を置いてくる副団長の腕を退かせて溜息をつく。
仲良く——？
やけに似合わない言葉を使うなと思えば、つまり彼が言っているのはこういうことだ。
「伊賀のことは水に流せと？」
思わず目付きが鋭くなったらしい……彼は焦ったように私から離れた。
「おー怖い怖い。そうは言ってねぇよ。ただこっちも周り敵ばっかで参ってんだよ」
かくいう私は周り敵か味方か分からん奴ばっかで参ってるけどな？
仕方なく了承の意味で所在のない溜息をつけば、いつの間にかアジトの母家に辿り着いていた。
「狭いが文句言うなよ」
副団長はそう言いながら私を招き入れる。
「文句なんて無いですよ、むしろ感謝して…………」
さっきまでの軽やかな言葉も足もそれ以上は続かなかった。
部屋の中で静かに横たわる晋助。
自分の目に映るその景色は充分すぎるほど衝撃的だった。
副団長を振り返れば、俺達が救出したんだとでも言うような少しだけ得意げな表情。
それを恩着せがましいと思う余裕すらなかった。
私は恐る恐るベッドの傍らに立つ。
顔色悪い……
前会った時より痩せた……？
てかあれ、寝てる人ってこんな静かなもんだっけ……。
そんな不吉な考えと同時に体温が乱降下して指先が冷たくなる。
「ちなみに言っとくが生きてるからな」
助け舟のような副団長の声にハッとした。
当然だ。よく見ればちゃんと息をしているのだから。
ゆっくりと手を伸ばして晋助の頰に触れる。
すっかり冷え切った私の指先よりよほど温かい彼の体温。
それに触れてやっと安堵の溜息をつくことができた。
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ギラッフェ(プロフ) - 陽-hisa-さん» いつも楽しみにしてくださってありがとうございます。何よりもの励みになっています！今後とも楽しんでいただけると嬉しいです(^^) (9月2日 0時) (
レス) id: 7a3023c2c7 (このIDを非表示/違反報告)
陽-hisa- - お久しぶりです。攘夷とこんなに上手く絡ませている作品、やはり私的にはこの作品が一番です。一番好きです。これからも楽しみにしています。応援しています。 (8月31日 19時) (レス) id: cd440b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - るぅさん» いつもありがとうございます！ベタ褒めしていただいて嬉しい限りです笑 今後ともよろしくお願いします！ (8月22日 9時) (レス) id: 1bbdb8d99e (このIDを非表示/違反報告)
るぅ - いつも読ませて頂いてます！大体どの作品も恋愛系の作品が多いのですが、占ツクで面白い作品に出会えると思ってなかったです笑コメント見させて頂きましたが、オチなしの結末を考えているとの事で個人的にホッとしました笑これからも応援してます！ (8月21日 21時) (レス) @page48 id: 0469468a88 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひーさん» コメントありがとうございます！読み返してくださるのとても嬉しいです！今後ともよろしくお願いします！ (8月10日 9時) (レス) id: da4440489d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ギラッフェ
| 作成日時：2022年1月26日 0時
