ep349 ページ2
近場の衛星に寄港してほっと一息。
ここら一帯を海賊が荒らしてくれたお陰で違法宇宙艇1つ潜り込もうが目立たないのはありがたい。
とは言ってもさっさと補給して出発するのが賢明だな。
そう思いながら燃料を補給していると、ふと視界の端にこちらへ一直線に向かってくる人影が目に入った。
様子を伺うが、長い外套に身を包んでいて素性が分からない。
天導衆……にしては動きが遅い。もしあいつらなら、私はここに降り立った時点で首筋を掻き切られてるはず。
でもどこかざわざわとするこの感じ。言ってしまえば殺気に近い何かを向けられているようにも感じる。
……逃げよう。
まだ補給足りてないけど、ここで万が一があるよりマシだ。
そう思って宇宙艇に乗り込もうとした
次の瞬間————
旋風と共にさっきの人影が一気に距離を詰め、気づけば私の背後にぴたりとつけていた。
「——っ!」
反射的に刀に手を伸ばすがそれはいとも簡単に封じられる。
そして同時にするりと首に回された片手。
そこには私の首なぞいつでもへし折れるぞ、とまさに脅迫せんばかりの力が込められていた。
圧倒的不利な状況に思わず心臓が大きく波打ったその時、
「やぁ、探してたよ……お姉さん」
背後の輩はどこか聞いたことのある声で私を親しげに呼ぶ。
まさかと思って少し背後を窺い見れば、視界に映り込んできたピンク色のおさげ髪とチャイナ服。
こんな偶然があるものかと笑えてくる。
「奇遇だね、私も君を探してたんだよ……団長殿」
外套に身を包んだ彼——神威はあの伊賀の時と同じように眼を細めて胡散臭い笑みを湛えていた。
「乗せてくれる?」
「これが他人への頼み方か。随分乱暴だね」
「海賊だからね」
悪びれもせずに笑う彼には呆れるしかないが、こちらも鬼兵隊か第七師団の残党を見つけたいと思ってたところだ。残党どころか団長様なのは思わぬ収穫だったけど。
「いいよ、ちょうど補給も終わったしここじゃ長話もできないから」
そう言って船内に招き入れる。
「あ、そうそう。乗るからにはそっちで起きたこと洗いざらい話してもらうけど————……って寝てるし……」
助手席に座るや否や、寝息を立てている夜兎に溜息を吐く。
が、まあ確かによく見れば結構な重傷状態。
「まったく……手のかかることで」
私は何回目かの溜息と共に救急箱に手を伸ばしたのだった。
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ギラッフェ(プロフ) - 陽-hisa-さん» いつも楽しみにしてくださってありがとうございます。何よりもの励みになっています!今後とも楽しんでいただけると嬉しいです(^^) (9月2日 0時) (レス) id: 7a3023c2c7 (このIDを非表示/違反報告)
陽-hisa- - お久しぶりです。攘夷とこんなに上手く絡ませている作品、やはり私的にはこの作品が一番です。一番好きです。これからも楽しみにしています。応援しています。 (8月31日 19時) (レス) id: cd440b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - るぅさん» いつもありがとうございます!ベタ褒めしていただいて嬉しい限りです笑 今後ともよろしくお願いします! (8月22日 9時) (レス) id: 1bbdb8d99e (このIDを非表示/違反報告)
るぅ - いつも読ませて頂いてます!大体どの作品も恋愛系の作品が多いのですが、占ツクで面白い作品に出会えると思ってなかったです笑コメント見させて頂きましたが、オチなしの結末を考えているとの事で個人的にホッとしました笑これからも応援してます! (8月21日 21時) (レス) @page48 id: 0469468a88 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひーさん» コメントありがとうございます!読み返してくださるのとても嬉しいです!今後ともよろしくお願いします! (8月10日 9時) (レス) id: da4440489d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2022年1月26日 0時