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ep306 ページ9

「それで、本題は?」


佐々木局長が私にそう尋ねたのは、運ばれてきた蕎麦に胸を躍らせながら私が箸を割った、まさにその瞬間だった。


「取り敢えず食べてからにしましょうよ」


タイミング悪いなぁ…いやわざとか、と思わず苦笑いすれば


「食事が不味くなるような話ということですか」

そう言って溜息を返された。


その溜息を聞こえないことにして私は蕎麦をすする。
その様子を見て、話すつもりが無いことを察したらしい佐々木局長も自分の蕎麦を啜り始めた。




そして、こんもりと盛られていた蕎麦の山が半分くらいに減った時、



「取り敢えずこれに目を通すのが早いですかね」


私は傍らから取り出した一切れの紙をぺらりと手渡した。

蕎麦を食べる片手間に受け取った佐々木局長はそれ一目見て直ぐに箸を置く。


そして黙って目を通し終わった後、私を見て言った。



「どんな神経してるんですか貴女?」

「あれ、何か間違いありました?」



一応確認したんだけどな、と思って尋ねれば「いいえこちらは完璧です。そうではなく……」と言う。


「貴女の人格を疑ってるんですよ」

「あぁ、そっちの意味ですか」


安心して笑う私と反対に、眉間に皺を寄せる局長。



「あれほど信頼関係を築いたかつての仲間をここまで散り散りに出来るとは……」


そう、私が渡したのは真選組隊士達の次の配属先を考えた草案だ。

私に作れと言った割には険しい表情の佐々木局長。



「完璧ならいいじゃないですか、何がそんなに不満なんですか?」

「言ったでしょう、私は彼等のファンなんですよ」

「……そのブラックジョークまだ続いてたんですか」



本気か嘘かも分からない会話をしながら、私達は揃って食事を再開した。



「一応配属は決めましたが、恐らくそれを断る隊士も出てくるでしょうから……というかそれも狙ってのその割り振りです」


そう説明しながら、例えば沖田君なんかはその配属呑まないだろうなぁと想像してみたりする。


まぁ、その方がこちらには都合が良いのでいいのだけれど。




 

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ギラッフェ(プロフ) - ろこもこさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて感謝しかありません。前作も必ず完結させるつもりですので長い目で見ていてくださると嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2022年1月18日 23時) (レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
ろこもこ(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます!前作の最終兵器に宜しく からずっとファンです…!ギラッフェさんの小説は人物や世界観が作り込まれ、何より愛が感じられて大好きです!!これからも応援しています! (2022年1月18日 15時) (レス) id: c1accee4d9 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - むーさん» そう言っていただけて嬉しいです!ゆるゆる更新してますがどうぞこれからも宜しくおねがいします (2022年1月11日 19時) (レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
むー - いつもギラッフェさんの語彙力が凄すぎて本当に尊敬します…これからも頑張ってください! (2022年1月10日 21時) (レス) id: c41de03eef (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ゆりりんさん» コメントありがとうございます!そんなふうに想ってもらっていて感謝しかありません。これからもよろしくお願いします! (2021年11月3日 10時) (レス) id: 26330a8285 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2021年4月22日 16時

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