ep318 ページ21
実際、殺気なんて微塵も感じなかった。
「……はぁ、殺す気があるならちゃんと狙ってください。もしくはただの脅しならもう少し離れた所に撃ってください」
「口の減らない参謀には躾も必要でしょう」
「なら聞かせてくださいよ、佐々木局長の真意を。憎まれ口叩きながらも貴方、本当は真選組も救いたいとか思ってるのでは?」
そう言った私に、銃口を下ろしながら答える。
「それは散々貴女に説明したでしょう。一体何が言いたいんですか……」
「救う気などさらさら無いと?おかしいですね、私からはそうは見えないんですが」
問い詰めた私に、佐々木局長は億劫そうな目をして言う。
「そもそも人間は勝手に救われて生きる生物です。誰かを救おうなどただの厚顔無恥なおごりで——」
「でも」
私はすっと息を吸って口を開く。
「あの日、私は確かに貴方に救われました」
将軍暗殺の知らせを受け、誰を頼るわけにもいかず、進む道すら失ったあの時。
陰鬱な路地裏から私を見つけ出した。
救うつもりなんて無かったと?私が勝手に救われた気になっているだけだと?
それで結構。佐々木局長のお陰で私は今ここにいられる、それが紛れもない事実だから。
でも
だとしたら————
「貴方のことは誰が救ってくれるんですか?」
一瞬、目を見開いた佐々木局長はすぐにまた私に背を向けた。
……まぁ、この問いに答えろって言いたいわけじゃない。
ただ、復讐だけに囚われてその先を考えないのはいい傾向じゃない。それを伝えたいだけだ。
その手の経験者として。
でもこれ以上しつこく言うのは得策じゃないな。真っ暗な海に放り出されかねない。
「……ところで信女ちゃんには話したんですか、今回のこと」
そう話題を変えれば案外すぐに答えは返ってくる。
「えぇ、さきほど任務はそれだけかと物言いをされたので」
「そうですか」
それだけ言って私はパソコンを開く。
はて、彼は自分を救えるのがその物言いをした彼女だけだと言うことに気付いているのだろうか……
そんなことを考えつつ————。
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ギラッフェ(プロフ) - ろこもこさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて感謝しかありません。前作も必ず完結させるつもりですので長い目で見ていてくださると嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2022年1月18日 23時) (レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
ろこもこ(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます!前作の最終兵器に宜しく からずっとファンです…!ギラッフェさんの小説は人物や世界観が作り込まれ、何より愛が感じられて大好きです!!これからも応援しています! (2022年1月18日 15時) (レス) id: c1accee4d9 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - むーさん» そう言っていただけて嬉しいです!ゆるゆる更新してますがどうぞこれからも宜しくおねがいします (2022年1月11日 19時) (レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
むー - いつもギラッフェさんの語彙力が凄すぎて本当に尊敬します…これからも頑張ってください! (2022年1月10日 21時) (レス) id: c41de03eef (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ゆりりんさん» コメントありがとうございます!そんなふうに想ってもらっていて感謝しかありません。これからもよろしくお願いします! (2021年11月3日 10時) (レス) id: 26330a8285 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2021年4月22日 16時